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(特集)「こどもクリニックどうかい」みんなの広場が完成(1)

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神奈川県平塚市

総合公園の平塚のはらっぱの西側にある広場で、たくさんの子どもたちが遊んでいます。面積は約3200平方メートル、県内最大級のインクルーシブ遊具広場です。障がい児と健常児がお互いに支え合いながら楽しく遊べる場所になるように願いを込めて「みんなの広場」と名付けられました。

桜が咲き始めた3月19日、青空の下で、総合公園のわんぱく広場の前に多くの親子連れが集まっていました。午前11時、職員の声掛けで入り口が開くと、子どもたちは待ちかねたように、広場の中に駆け込んでいきます。みんなの広場のオープンです。
広場の中の色鮮やかな遊具は、通常の公園とは少し異なった形をしています。スロープで上まで登れる滑り台や円盤型のブランコなど、見たことのない遊具に子どもたちは目を輝かせます。遊具の周りにはあっという間に人だかりができました。市内から来た親子連れは「工事をしているときからずっと気になっていました。いろいろな遊具があって良いですね」と笑顔を見せます。

●幼少期から自然体で関わる
みんなの広場にはインクルーシブ遊具が8基整備されました(本紙P1下囲み)。インクルーシブとは「あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないように援護し、社会の構成員として包み、支え合う」という社会政策の理念を言います。
「障がいのある子もない子も、一緒に遊んで相互に違いを学べる場になってほしいですね」と話すのは、市みどり公園・水辺課の木原友生課長代理。障がい福祉計画を策定するアンケートを読んだとき、健常者と障がい者が同じ回答をした項目があったと言います。「共生社会で手を取り合って両者がお互いに気持ちよく暮らせるためにはどうしたらいいか」という問いに対する「幼少期から両者が自然体で関わっていくこと」という答えです。
「公園部門として貢献できるのはこれだと考えました」

●市制施行90周年記念事業
今までインクルーシブ遊具は、輸入品が多く国内での設置例は多くありませんでした。近年、国内メーカーの研究開発が進んだことや、令和2年3月に東京都立砧きぬた公園にインクルーシブ遊具広場が全国で初めて設置されたことから、平塚市でも実現できると考え、令和2年から課内で研究を始めました。
「インクルーシブ遊具広場を実現するため、みどり公園・水辺課だけでなく、総合公園課・障がい福祉課の職員にも声を掛けて仲間を募り、市制施行90周年記念事業に提案をしました」。結果、同提案は1級を受賞。事業化に結び付きました。

●対話で進めた設置準備
設置に向けて庁内に関係課によるインクルーシブ遊具設置推進会議を立ち上げました。「職員だけでは分からないことも多い分野であるため、パートナーとして関係団体にも会議に参加をお願いしました」(本紙P3左上囲み)。対話による意見交換は障がい者団体や特別支援学校など全部で15団体が参加。他にも、文書による意見照会には障がい者自立支援協議会や公立・私立幼稚園や保育園など97団体にも及びます。インクルーシブ遊具の設置に向けて要望を聞き、場所・遊具などの項目に分けた総括表を作りました。
設置場所をどこにするのかの話し合いの中で、「駐車場が必要である」「多機能トイレがあると良い」「交流の場なので健常児がそばにいる」「市域の真ん中が良い」という意見が出てきました。自然とみんなの思いが総合公園に集まっていったと木原課長代理は説明します。
「総合公園の駐車場から広場までの通路を事前に車いすに乗っている職員と一緒に歩いたんです。がたがたしている部分が多かったので、今回の広場の設置に合わせて舗装をきれいにし、移動しやすくしました」。他にも、駐車場から広場までの案内板を新たに設置したり、優先枠を増やしたりしました。

●平塚ならではの広場
「ヒアリングに参加された皆さんとの時間は有意義であり、かつ楽しい時間で新しい気付きや発見がありました」と木原課長代理はほほ笑みます。いろいろな障がいの特性を踏まえて遊具を検討していきました。しかし、全てをユニバーサルデザインにすればいい訳ではありません。
ラフプランの段階で、視覚障がい者のために、遊具の一つ一つを手すりでつなげる案がありました。議論の中で「障がい児と健常児の交流を目的としている遊具広場では、一人で遊べる場を作ることが目的ではなく、目の見えない子の手を目が見える友達が手を引いて連れていくことが大事ではないか」と教えられました、と振り返ります。こうしたプロセスを経て完成したみんなの広場。平塚市ならではの広場になりました。

●交流のスタートの場所
「障がいのありなしに関わらず、幼少期から一緒にいる場所として公園は最適です。交流のスタートの場所になってほしいです」と木原課長代理は期待を込めます。
「みんなの広場で遊んで育った子が、将来障がいのある方が困っているとき、自然とお手伝いできるような社会につながっていくと良いですね」

◆広場の愛称が決まりました
みんなの広場のネーミングライツによる愛称が決定しました。
・愛称…「こどもクリニックどうかい」みんなの広場
・ネーミングライツパートナー…医療法人聖玲塾
・愛称使用期間…3月19日から8年間
・年間のネーミングライツ料…155万円

問い合わせ:資産経営課
【電話】21-8763

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