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[特集]命を救う最前線~救急搬送件数が過去最多~(1)

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神奈川県平塚市

◆命を守る救急隊
救急車の中に運び込まれた患者の血圧を測る救急救命士。救命処置がしやすいようにライトで明るく照らされた車内には、モニターや点滴など、処置に必要な器具が所せましと並ぶ。子どもの患者を安心させるためのペンギンのぬいぐるみも天井から見守る。
命の危険が迫っている人を一人でも多く救うため、日夜、救急隊が力を尽くしている。

救急搬送件数が過去最多。いま一人一人ができることとは



分類は病院到着時に医師が初診で判断した傷病程度。重症は3週間以上の入院が必要、軽症は入院不要。中等症は入院は必要だが重症に当てはまらないもの。軽症でもその後の通院が必要な場合もあり全てが不要不急な救急要請というわけではないが、自力で病院に行けるものも多く含まれているのが現状だ。

市民の命を守る救急車。一刻を争う状況に置かれた命を救う救急隊や市民病院、119番通報を受け救急車を現場に振り分ける指令室の活動を紹介する。

◆圧迫される救急隊
「命の危険が迫っている方に必要な処置を施しつつ、一刻でも早く医師の管理下に置くのが救急隊の大きな役割です」と語る消防救急課の宇佐美雅史救急救命士。
24時間365日、市民の命を守るために備える救急隊。市内には通常稼働する救急車が8台と、予備の救急車が3台ある。市民病院に待機する救急車を含め、市内8カ所を拠点に配備。それぞれの受け持ち区域を割り振ることで、効率的に出場できる体制を作っている。
救急車が現場に到着するまでの時間は、全国的に見ても年々遅くなっているのが現状だ。平塚市では、平成30年には7分24秒だった到着時間が令和4年には8分28秒にまで延びた。
懸念されるのは、1分以上の遅れが命の分かれ目となる患者だ。救急車の到着の遅れが進めば病院までの搬送も遅れ、助からない命が出てくる恐れもある。

◇熱中症は自分でも対策を
到着が遅くなる主な要因は、救急搬送件数の増加だ。令和4年の救急搬送件数は過去最多の1万6449件に達した(上折れ線グラフ)。
「コロナ禍では外出自粛で交通事故での救急要請が激減したのが特徴的です。病院の受診控えも影響したと見られます。令和4年からは以前のように、救急搬送が増えてきたのを実感しています」救急要請は日中が多く夜間は減る。特に多いのが午前10時台。要請理由は急病が大半を占め、けが、交通事故と続く。入院が不要な軽症の患者も多い。暑くなってくる5月以降に、特に警戒すべきは熱中症(本紙P4参照)だ。令和4年8月は新型コロナの第7波も相まって、救急要請の数が跳ね上がった。
「熱中症が増えたことで、日中に予備の車を含め全ての救急車が出払ってしまう日もありました。特に5月のゴールデンウイークごろから気温が高くなってくると、熱中症の搬送が増えます。自分でもできる対策があるので、ぜひ取り組んでほしいです」

◇新型コロナで消毒の負担倍増
到着の遅れをもたらすもう一つの要因は、出場後の消毒にかかる時間が新型コロナ対策で増えたことだ。搬送した患者の病気を次の患者に感染させるわけにはいかない。病院に患者を引き継いだ後は、救急車内や資機材をはじめ、患者の血液や、吐いたものなどを清掃する必要がある。「清掃後は念入りに消毒します。特に新型コロナで感染を防ぐための資機材や装備が増え、以前よりも消毒が必要な物品が増えました。新型コロナ前は10~15分で済んでいた消毒作業に、現在は20~30分かかっています」。消毒が完全に終わるまで救急隊は消防署に帰れず、次の現場にも出場できない。1日に何件も搬送と消毒を繰り返すと、外に出場している時間が玉突きで増えていく。1件の出場が終わった後に次の現場へ向かうまでの時間が押し、結果として救急車の到着が遅れることとなる。
宇佐美救急救命士は救急隊が活動する上で、病院との顔の見える関係づくりが重要だと強調する。「一人でも多くの患者さんを救いたい、というのが救急隊や病院が持つ共通の思いです。本当に必要な人に救急車を届けるために、連携しています」

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