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[特集]夜景を楽しむ七夕(1)

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神奈川県平塚市

●第71回湘南ひらつか七夕まつり
7月7日(金)~9日(日)
夜の湘南スターモールを彩る七夕飾り。
今年から夜景の部が復活し、午後8時(9日は7時)まで、ライトアップされた七夕飾りを楽しめます。

豪華絢爛(けんらん)な七夕飾りを、夜も楽しめるのは平塚の七夕まつりならでは。今号では、夜景をきれいに見せる飾り作りの工夫や、コンパクトになり再開するイベントと露店の情報などを紹介します。

◆明かりが彩るまち
4年ぶりに、七夕飾りがライトアップされ、夜の平塚を彩ります。今年は湘南スターモールに76本、紅谷パールロードに16本の飾りが並びます。ライトアップの電源は、湘南スターモールなどにあるアーケードの各柱上部に設置されるボックス。そこから仮設電気を引いています。今年は脱炭素社会を目指した取り組みとして、電気自動車を電源にした飾りも揚がります。

◇作り手の工夫
掲出される七夕飾りは昼間だけでなく、夜でも楽しめるように作り手たちが工夫を凝らします。市民ボランティア団体などが揚げる市民飾りには標準となる型があり、細かいところに長年引き継がれる工夫が見られます(本紙P2参照)。
商店や企業の飾りは自社で作って揚げる場合と、製作を業者に依頼する場合があります。夜景のための工夫は作り手によってさまざま。「うちの場合は、飾りを印刷するシートの素材にこだわっています」と話すのは、七夕飾りの製作を請け負う業者、甲興産(きのえこうさん)の代表取締役田中秀明樹(ひであき)さん。「素材は厚すぎると光を通さないけど、薄すぎると雨風に弱い。市民飾りでは和紙を使いますが、企業さんは一度作った飾りを毎年使い続けていくことが多いので、ただ雨風に耐えるだけでなく、数年使える素材選びを大事にしています」と続けます。また飾りの形で工夫も変わります。「発泡スチロールで企業のマスコットがメインの飾りを作った時は、中に電球を入れられないので上下に台を設け、行灯(あんどん)などで照らしました」。

◇数少ない担い手
田中さんが七夕飾りを作り始めたのは平成28年頃。七夕飾りを作る業者が少なくなり、新規で飾りを増やそうとしても製作を請け負う業者がいない状況の中で、つながりのあった青年会議所などから声が掛かりました。「飾りの本数は多くないですが、新規の企業飾りをやらせてもらうようになりました。始めた当初から不安定な飾りがあると相談も受けていたので、当たり前のことですが、構造など、安全面をしっかり考えて職人には指示を出しています」。昨年は市観光協会など4団体の飾りを作っています。
始めたばかりで凝った作りはまだまだ……と謙遜しながらも、自社の飾りでは、本業の建設業での経験を生かしたライトアップに挑戦したいと意欲的です。「基本七夕飾りで使うのは豆電球ですが、今はいろいろな明かりの出し方があります。LED電球などを使ってほんわりとした明かりを出したり、イルミネーションのような色味にしたり。今までとは少し違う面白いものを作ってみたいですね」と声を弾ませます。

◇点ではなく面
完成した七夕飾りを夜景としてきれいに見せるには、掲出の仕方も重要です。「1本の竹に複数の飾りを付けることで、豪華さが出て見栄えが良くなります。企業の飾りは三つが多いですね。竹の角度や間隔も決まっていて、竹の長さや付ける飾りの数・重さによって調整していきます」と田中さん。1本の竹で一つの飾りを揚げたり間隔を開け過ぎたりすると、明かりは点となってしまいます。飾りが密集して明かりが面となって見えることで、きれいな夜景が生まれます(本紙P1参照)。
田中さんは、湘南スターモールでは西側の市民プラザ前か、東側の東横イン前から流れるように歩いて見るのを勧めます。「東西のどちらからか歩いて来るのを前提に、正面がよく見えるように皆さん作っているので。ずらりと続く飾りによる夜景は見応えがありますよ。外が暗くなるのが遅いので、消灯までの1時間が1番夜景のきれいさを楽しめると思います」。

◇伝統をつなぐ
田中さんは、今年から市民飾りの運営にも後継団体として携わっています。20年以上の間、市民飾りの指導や補助などをしてきた、飾り製作グループ「湘南七夕の会」の休会に伴い、甲興産がその役割を担うことになりました。「このまま誰も運営しなければ、市民飾りはできなくなってしまう状況でした。本業と並行して準備するのは、人も時間も取られてしまうので大変です。それでも歴史ある市民飾りをなくさないために引き受けました」と経緯を話します。「今年はまず前任者から例年通りの形を継承していきたいです。ただ企業として受ける時にさまざまな課題が出てくるので、完全に今まで通りとはいきません。少しずつ運営の仕方などをリメークして、続けられる形にしていく必要があると思っています」

◇思いを形にする力
市民飾りの運営は初めてで、手探り状態だという田中さん。「市民飾りは決まった型以外に、各団体で考えたさまざまなアイデアが出ます。難しく思える内容でも、前任者はできる限り近い形で実現させているんです。長年の経験で培ってきた、その対応力がすごい」と前任者への敬意を示します。市民飾りの製作場所である市民プラザでは、技術を引き継ぐ甲興産の職人が各団体の希望をかなえられるように対応していました。行灯を標準型(60センチメートル四方・高さ70センチメートル)より大きい枠で組み立てたり、くす玉を上半分だけで用意したり、各団体の声に寄り添います。
「市民飾りの製作を見ていると、皆さん手の込んだ飾りを作っていて。今年も面白いものが多くできそうですよ。市民団体の皆さんがこれからも楽しく参加し続けられるように、経験を積んでいかなければと思っています」と気を引き締めます。製作現場には、今年も常連の市民団体が初めての団体に、その伝統的な作り方を親身になって教える姿がありました。「10・20年とできる限りは続けたいですが、いつか誰かに渡す時が来ます。データの蓄積を含め、未来に引き継ぐ準備をしっかりしていきたいです。いつか新たな世代がつくって楽しむ七夕まつりの中でも、七夕飾り、市民飾りという伝統が続くように、今後を考えていきたいですね」
伝統が引き継がれる歴史ある七夕飾り。夜景の明かりを眺めながら、飾りに込められた思いを感じてみませんか。

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