文字サイズ
自治体の皆さまへ

個性が光る絵本 平塚の作家たち(3)

3/21

神奈川県平塚市

◆飯野由希代(はんの ゆきよ)さん
茅ケ崎市出身、平塚市在住の児童文学作家。平成15年に『ぼくと一緒に住む人たち』でグリム童話賞の優秀賞を受賞してから、本格的に創作を開始。著書は『おまつりやさん』『はやく はやく』『ぼく、トイレ』他。

◇こども時代のわくわくを想起 ちょっと不思議な物語
児童文学作家として活躍する飯野由希代さん。「書く仕事」に出合ったのは、結婚を機に、東京での仕事を辞め、生まれ育った湘南に戻ってからでした。新たに始めたタウン誌の編集の仕事で、「文章を書く楽しさ」を知ったそうです。その後、飯野さんは東京の出版社でも働きます。「取材して文章を作る仕事を好きになって、続けたいと思ったのです」。

・平塚を拠点に30年
好きで選んだ仕事でも、出張や残業も多く、立ちっぱなしの電車通勤はつらかったと振り返る飯野さん。そこで選んだ新たな住まいが、東京までの始発電車のある平塚でした。「当時は夜遅くまで働いていたので、朝の電車は何としても座って眠りたかったのです。平塚に住んで、通勤が楽になりましたね」と移住の決め手を話します。
子育てや本格的な作家活動も平塚で始めた飯野さん。「書く仕事も子育ても家の中にこもりがちでした。平塚の人のさり気ない親切さや、近くにある自然にも救われました」と振り返ります。

・感じたままを表現
飯野さんが児童文学に興味を持ったのは、子どもとの生活で絵本・童話が身近になったことがきっかけでした。子育てをしていた頃は、出版社は辞めずに、自宅でできる仕事をしていました。「文章を書くことは好きだったので、児童文学の執筆を始めたんです」と笑顔を見せます。
飯野さんは、自身の子どもの頃の経験を思い出して物語を作ることが多いそうです。「経験したときの気持ちは、自分にしか分からないもの。登場人物の感情を想像するのではなく、自分が感じたままを素直に書いています」と説明します。「表現する感情に、ちょっとでも共感してもらえる作品を作りたいと思っています」。例えば絵本『おまつりやさん』は、子どもの頃にさまざまなお祭りで感じた、わくわく感などを表現しています。「子どもの頃、夜のお祭りの、あのにぎやかでいて怪しげな雰囲気が大好きで。何といっても平塚の七夕まつりは、一番思い出に残っています」と目を輝かせます。

・文に命が吹き込まれる
飯野さんは、子どもたちに分かりやすいように、どこを絵で表現するかどうかも考えています。「自分が表現したい思いを、文字だけではなく、登場する人や動物などの行動で表現するようにしています」と工夫を語ります。
絵を担当する画家は毎回編集者が見つけてくれるそうです。「画家さんの力で、文に息が吹き込まれて、物語が生き生きとするのです」と声を弾ませる飯野さん。絵本の中で次々と移り変わる情景は、子どもの目を引きます。「子どもは『これなんだろう?』と感じるものが大人よりもたくさんあると思うんです。ちょっぴり不思議な世界を、わくわく・どきどきしながら、楽しく読んでほしいですね」。

問い合わせ:中央図書館
【電話】31-0428

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU