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自治体の皆さまへ

特集 南越前まち歩きってなに?(2)

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福井県南条郡南越前町

―「まち歩き」のこれからの展望を教えてください。

私は地域住民が「地域の魅力を再発見」し「地域に愛着を持つ」ことに興味があります。それを実現するための長期的な展望として「エコミュージアム」という考え方をお手本としています。これは、1960年頃にフランスで発祥した概念で、日本では1970年頃、まちづくり・地域おこしの手法として紹介されるようになりました。「エコミュージアム」を日本語で言い換えるなら「地域まるごと博物館」となります。「博物館」はある分野の価値ある資料の収集・保存、調査・研究、展示をする施設です。アートであれば美術館、生き物だと動物園や水族館、北前船の資料が集まる右近家も博物館のようですよね。その博物館の「展示室」を「地域」と見立てるということです。文だけでは少しわかりにくいかもしれないので、図を使って、一般的な博物館と比較してみます。

このように、河野全体の「地域」が「展示室」と捉えられるので、そこに点在している「地域の宝」のようなものが「展示資料」で、地域で暮らしたり仕事をしたりしている「住民」が「学芸員・専門家」にあたります。例えば定置網漁を価値ある「展示資料」と考えてみましょう。毎朝、漁港から海へ出て網をあげて魚をとっている漁師さんが「学芸員・専門家」です。漁師さんが日常的に仕事として漁をされていること自体が定置網漁の「生きた展示」をしていることになります。漁師さんは網を修理する網仕事を行いますが、それは定置網漁の「保存」と言えるし、日々異なる条件下(気象条件、海の状況、季節など)でどんな魚が入るかを「研究」しているとも言えそうです。

一般的な博物館の「展示」は資料として部分を切り取ってハコに保存します。一方、地域まるごと博物館においては現地で保存されることで生態系=地域環境全体が展示対象といえます。定置網漁の生態系とは獲れる魚の生息環境であり、働く漁師の生活環境であり、さらには河野の自然環境に繋がっています。地域まるごと博物館にはそういった地域の自然や生活を繋ぎ、それらを見せる観光にも役立つような可能性があると考えています。

―最後の質問です。田上隊員は今年度で任期3年目(満了)となりますが、活動終了に向けた目標などはありますか?

はい。今年度は、活動の集大成として、これまでの活動で見えてきた南越前町河野地区の、より日常に近い魅力をまとめた、ガイドブック「(仮称)ふつうのこうの」を作成する予定です。河野地区の日常に隠れた魅力を、町内外の皆さまに知っていただけたらと思っています。

■本紙のマップは、これまでのまち歩きで巡った場所と発見した河野の魅力の一部をマッピングしたものです。作成予定のガイドブックの巻末には、さらに情報を加えた「河野まるごと博物館MAP」を掲載したいと考えていますので、マップに載せるべき「ここがオススメ!」というご意見があれば、ぜひお聞かせください。
残りの活動期間の中でも、さらなる町のかくれた魅力を発見、発信していきたいと思いますので、今後とも応援よろしくお願いします!
※「河野まるごと博物館MAP」は本紙をご覧ください。

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