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開園から30年 名勝 養浩館庭園(2)

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福井県福井市

世代や地域を超えて、さまざまな人たちに愛され続ける「養浩館庭園」。その裏側には、長年に渡り、庭園ならではの景観や風情を守り続けてきた人たちの思いや努力がありました。
ここでは、特別な思いを持ち、景観の維持や魅力向上のために活動する三つの団体に、養浩館庭園の魅力や将来性について伺いました。

■御泉水倶楽部(くらぶ)
「福井市民にこそ、もっと養浩館庭園の魅力を知ってほしい」と力を込めて語るのは、昨年7月に立ち上げられた「ボランティア活動団体御泉水俱楽部」の代表を務める香川さん。市民をメインターゲットとした養浩館庭園の魅力発信を目的に活動しています。
具体的な活動は大きく二つ。庭園の清掃や除草などの庭園管理のサポートと、養浩館庭園で行うイベントの企画・運営です。
「落ち葉清掃などのボランティアへの参加を定期的に市民に呼びかけているのは、活動を通じて、市民に養浩館庭園に親しんでほしいから」と話す香川さん。「来年春の北陸新幹線福井開業を見据え、若者の力も必要。今は、毎月第2火曜日(1、2月除く)にシニア世代を中心に活動しているが、平日に参加できない方々のために、休日にも活動の場を設けたい」と意欲的に話します。
「国内での評価はもちろん、アメリカの日本庭園専門誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』でも、養浩館庭園は16年連続でトップ10入りを果たしている。また、この庭園は、発掘された遺構の上に直接建築する画期的な復元方法を用いたことにより、建物から池を眺める視線の高さが当時(江戸時代)と同じ状態に保たれているところも非常に魅力的」と目を輝かせながら話す香川さん。「養浩館は、豊富な水を湛たたえる庭園と、一体になっている建物ともにレベルが高い。池の上を渡る爽やかな風や、日の光が池の水面に反射し、建物の軒先や天井に映る芸術的な瞬間を、直接目で見て感じてほしい。市民の皆さんには、これほど誇れる庭園が身近にあることを再認識し、ぜひ足を運んでもらえれば」と笑顔で語ってくれました。

御泉水俱楽部 代表 香川正行さん
(養浩館庭園の魅力を伝えたい!)

■とねりの会
来年で創立20周年を迎える、「福井市立郷土歴史博物館ボランティアとねりの会」。郷土歴史博物館だけでなく、隣接する養浩館庭園のボランティアガイドもメインの活動として行っており、歴史ガイドを通じて養浩館庭園を支えてきました。
歴史好きの約60人により構成されており、メンバー全員が「ミュージアムカレッジ」と呼ばれる郷土歴史博物館の学芸員による講義を数か月間受講し、ガイドをしていく上での知識を身に付けています。
「私たちがボランティアガイドを始めてから、養浩館庭園や郷土歴史博物館の利用者は間違いなく増えている。最近では市内に住む高齢者の方や親子連れの利用も少なくはない」と話すのは、代表の瀧澤さん。「県外からやってくるお客さんに、養浩館庭園の歴史を教えることも楽しいが、市民の方々に、あらためて養浩館庭園の魅力を伝え、その人の新しい発見や気付きにつながったときに、今までにないやりがいを感じる」と言います。
年に10回以上ある養浩館庭園の無料開放日には、「とねりの会」のメンバーが必ず園内に常駐しているそうで、「気兼ねなく何でも質問してほしい」と笑顔で話します。
「新幹線開業を控えた今、外国人観光客への対応が課題になっている。メンバーには、『建築』や『語学』など、分野ごとのスペシャリストもいる。インバウンド対策の一助にもなるよう、適材適所で人員を配置し、養浩館庭園という郷土の誇りを今よりもっと周知していきたい」
「養浩館庭園に来た際には、ぜひ郷土歴史博物館にも足を運んでもらいたい。市民の皆さんには、養浩館庭園だけでなく御泉水公園、郷土歴史博物館までを一体として楽しんでいただき、福井の歴史をより深く体感してもらえれば」と熱く話してくれました。

とねりの会 代表 瀧澤徹さん
(歴史ガイドならお任せを!)

■宝永まちづくり委員会
毎年夏と冬、御泉水公園と養浩館庭園でイベントを企画・開催している「宝永まちづくり委員会」。8月上旬には、宝永の民謡を中心とした民謡大会をはじめ、ステージイベント、出店などが地域一体となって楽しめるイベント「お泉水フェスタ」の開催、3月には、毎年地区内外から2000人以上が来園する「養浩館庭園ライトアップ」を催しています。
メンバーは、宝永公民館長により選出された30人程度。企画委員長を務める畑さんは、「養浩館庭園を300個ものあんどんで彩るライトアップ事業も、今年で23回目。毎年あんどん作りに協力してくれる地区の小学生、園児たちには感謝しかない」と話します。
畑さんが幼少のころの養浩館庭園は一面荒れ果てていて、子どもたちの遊び場だったそうで、「ザリガニを釣ったり、虫を捕まえたりして遊んでいたことを今でも鮮明に覚えている」と言います。
「大人になってこの活動を始めてから、養浩館庭園がこんなにも美しく格式高い庭園であるということを知ることができた。近年、公民館では、あんどん作りで使用した用紙を、はたちのつどいの際に本人に返す取り組みが始まっている。地区の未来を担う若者が、あんどん作りを通じて、地区のシンボルである養浩館庭園に少しでも愛着を持ち、再び宝永の地に戻ってくることにつながれば」と、未来の宝永の姿に思いをはせながら話してくれました。
・今年3月に開催された「養浩館庭園ライトアップ2023」では、約300個の手作りあんどんが並べられた

宝永まちづくり委員会 企画委員長 畑修治さん
(地域の宝である養浩館庭園を受け継いでいく)

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