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ふるさと昔 よもやま話(137)

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福井県美浜町

■新・文化遺産カード~越前朝倉氏ゆかりの付城と文物~
町では、3月から新しく文化遺産カードを5種類発行しました。これにより、文化遺産カードは合計43種類となり、若狭国吉城歴史資料館では今年発行した2種類を含め、合計9種類を配布しています。
今年から配布を開始した2種類は「中山(なかやま)の付城(つけじろ)」と「青磁浮牡丹皿(せいじうきぼたんざら)・五百体愛染明王図(ごひゃくたいあいぜんみょうおうず)」という越前朝倉氏にゆかりのあるものです。今年は、朝倉氏滅亡450年にあたります。
「中山の付城」は、越前朝倉勢が国吉城攻めのため、永禄7年(1564)に太田の芳春寺山(ほうしゅんじやま)(中山)に築いた監視の城です(国吉籠城記)。天正元年(1573)、朝倉氏が滅亡すると織田信長によって破却されました(信長公記)。その構造は、朝倉氏の築城技術を色濃く残すと評価されてきました。しかし、国吉城があった西側よりも、越前方面や丹後街道が通っていた東・北側に対し厚い防備を固めたように見えるため、再考の余地がありそうです。
次に「青磁浮牡丹皿・五百体愛染明王図」ですが、これらは天正元年に国吉城主粟屋越中守(えっちゅうのかみ)が織田信長に従って越前国一乗谷(福井市)を攻めた際に持ち帰り、青蓮寺(しょうれんじ)(佐柿)に寄進した品々です。
青磁浮牡丹皿は、見込みに牡丹の花が刻まれ、水を入れると牡丹の花が咲いたように見えると伝わります。箱書きには「粟屋越中守御寄付」とあります。一乗谷朝倉氏遺跡では、地下式倉庫跡から輸入陶磁器の優品が数多く出土しましたが、青磁器の出土は極めて少ないものでした。そのため、本皿は450年前の朝倉氏の栄華を伝える逸品として、大変貴重な伝世品です。本皿は町有形文化財に指定されており、現在当館で展示しています。
五百体愛染明王図は、縦55・2cm×横27・4cmのさほど大きくない画面に1列20体、25列計500体が整然と描かれています。本図は弘法大師筆と伝えられていますが、鎌倉時代の作であると考えられます。本図は福井県有形文化財に指定され、現在県立若狭歴史博物館に寄託されています。
文化遺産カードは、各地の文化遺産の背景にある歴史や文化にふれるきっかけになればという思いから生まれました。当館では文化遺産カード以外にもこれまで国吉城や国吉籠城戦に関連する朝倉氏の付城の「御城朱印(ごじょうしゅいん)(御城印(ごじょういん))」を配布してきました。ぜひ、御城朱印と合わせて文化遺産カードも集めて国吉城と佐柿、そして美浜町の歴史と文化に思いをはせてみてください。
(若狭国吉城歴史資料館)

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