丹生高校写真部
部長 齋藤飛鳥(さいとうあすか)さん(17)
次期部長 大塚菜南子(おおつかななこ)さん(17)
ともに鯖江市出身。3月にまなべの館で開いた写真部の写真展では600点以上を展示し、300人以上が訪れた。
《人間力=写真力》
写真愛好家たちがその腕前を競う県内外のコンテストで好成績を重ねる県立丹生高校写真部の部長を務める。部員たちは、「写真力=人間力」の部訓を胸に切磋琢磨しながら、シャッターを切る日々だ。現部長の齋藤飛鳥さんと、今夏から新部長になる大塚菜南子さんは「今後もさまざまな大会で入賞を重ねたい」と意気込む。
カメラを手に公園に出掛ける――。そこで楽しそうに遊ぶ親子連れを見かけたとしよう。「モデルになってほしい」と思い、名前を明かして了解を得た上でレンズを向ける。正しい声かけに思えるが、それで良い一枚が撮れるかといえば工夫が足りない。
まずは、世間話や雑談を通して距離感を縮め、警戒心を解く。どれだけ心を開いてくれたかが如実に表れるのが写真だ。相手の懐に飛び込み、自然な表情を引き出すコミュニケーション力こそが上達の一歩であり、部訓に込められたメッセージである。
人物をテーマにした写真が好きな齋藤さんも「入部した頃は緊張して話しかけられなかった」と照れ笑いする。それでも場数をこなし、徐々に腕を磨いてきた。中学では陸上部だったが、「写真に挑戦して仲間と意識を高め合いたい」と転向を決めた。すぐに撮影にのめり込み、気づけば誰よりも遅くまで部室に残った。部長を託されたのはそんな熱心さを買われたからだ。
丹生高校写真部の魅力は学年の垣根を越えた仲の良さやゆるさ。「気軽に話し合える雰囲気だからこそ、アイデアやアドバイスを交換しあえるんです」。年に何度も行う部内戦も強さの秘訣だ。互いの写真を持ち寄ってその良し悪しを議論するだけではなく、外部の写真家を審査員に招く。「部内戦で新たな視点や気づきが得られるのは大きい」。
ほかにも、県外の強豪校と交流を重ねたり、県内外のコンテストにコンスタントに出品したりと、レベルアップに余念がない。そんな齋藤さんたちを陰で支えるのが竹内祐子顧問。「写真を通して生徒を育てる」をモットーに、地域活動や子どもたちとの交流も積極的に進めている。
経験の積み重ねは結果にも現れている。昨年度は全国の愛好家の力作を集めた全日本写真展の「高校生の部」で3人が銅賞に輝いたほか、写真誌などが催す大会などで複数の部員が入賞を果たした。
齋藤さんは「新しい部員を迎え、写真部がさらにパワーアップするのが楽しみ」と話し、新部長の大塚さんも「歴代の先輩たちから受け継いだ技をもっと磨いていきたい」と笑顔を見せた。
※本紙写真はいずれも丹生高校写真部提供
今回は本紙26ページ左上のメイン写真も写真部のメンバーに撮ってもらいました。ありがとうございました!
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