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自治体の皆さまへ

手と手をつないでNo.378

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福岡県太宰府市

山口 裕之(やまぐち ひろゆき)
(マザー・アース人権啓発研究所主宰)

■いま、あらためて「人権の世紀」に向き合う
新年度を迎えました。この春、長きにわたったコロナ禍のトンネルの出口が見え始めてきました。一方ロシアによるウクライナ侵攻より1年余り経ちましたが、この戦争の解決の糸口はいまだ見つからない状況です。振り返れば「人権の世紀にしよう」という思いをこめて迎えた21世紀ももうすぐ四半世紀を過ぎようとしています。
私たちはこれから何を目指し、どこに向かって進んでいけばよいのでしょうか。

○世界人権宣言採択より75年の今年
ここで昨年12月10日の世界人権デーによせられたアントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージの一部を紹介します。
「こうした試練の時代において、私たちは、市民的、文化的、経済的、政治的、社会的権利を含むあらゆる人権に対する決意を新たにしなければなりません。世界人権宣言の75周年を、行動の機会としなければなりません。
人権は人間としての尊厳の基礎であり、平和で包摂的、かつ公平・平等な繁栄する社会の礎です。人権は、求心力であり、団結のための掛け声です。
人権は、私たち共通の人間性という、私たちが共有する最も基本的な部分を反映しています。
人権デーにあたり、私たちは、すべての人々の人権を擁護するとともに、あらゆる権利の普遍性と不可分性を再確認します」
このメッセージでは、私たちがめざす方向として、自由、人権の尊重、権利についての平等がある社会の創造が提起されています。お互いの違いを認め合い、相手の人権を尊重し合う「多様性の社会」や「共生の社会」を創り、人権が文化として定着した「人権の世紀」を実現することがよびかけられています。

○全九州水平社結成より100年の今年
昨年は全国水平社結成100年の年ということで国内外ではさまざまな催しや学習会が花開きました。実は本年は私たちの生きる九州において全九州水平社が創立されて100年を迎える年となります。
その宣言や綱領などにうたわれた精神「人の世に熱あれ人間に光あれ」は、被差別部落の地位向上・差別撤廃のみならず人間の尊厳・自由・平等の確立をもめざしていました。このあらゆる差別から人間を解き放つという理念は今日でも光を放ち続けています。

○次の100年を展望する本年
近年、さまざまな人権課題に向き合おうとする人々や企業・組織の動きは確実にひろがっており、個を大切にし多様性を認めあおうとする認識が市民のあいだに定着してきています。気候変動から地球環境を守る運動が若い世代から巻き起こっていることも大きな希望です。
これらの今日に至るまでの経緯と到達点と教訓をわたしたちみんなで共有しましょう。そして現代の社会に存在するさまざまな差別や人権の諸問題の解決に挑戦していく新たな行動の出発点として、本年度を大切に過ごしていきたいと思います。
さらなる100年の間には、私たちはこの地上からいとまを告げていますが、それまでの間に自分自身が近しい次の世代の人々にどのようなメッセージを伝えるのか、地域社会にどんな精神文化や環境を受け継いでもらうのかについて考えてみたいものです。

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