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自治体の皆さまへ

伝統を受け継ぐまちには輝くひとがいる(2)

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福岡県宮若市

■加護 ひかり(KAGO HIKARI)
「歌は人と人を結ぶもの」そう話すのは、声楽家の加護ひかりさん。こだまこども合唱団や第九コンサートなどを通じて、地域に伝わる歌を子どもたちと共に伝えています。

◇歌うことで得るもの
歌の魅力ってたくさんあるんですよ。例えば地域のことを歌った曲だと、歌詞からその地域のことが分かったりします。『われらこの地に』は、ただ歌うだけじゃなく、その背景や歴史を想像しながら歌うことで、考える力を養うことができます。地図を広げて、ここは西山、ここに清水寺と確認するだけでも、楽しく学ぶことができます。歌を好きになるだけじゃなく、ふるさとのことも好きになれるのが地域の歌の魅力ですね。
うまく歌えるようになりたいという気持ちも大切だと思います。でも、一番大切なのは歌を通じて何を学ぶことができるか。特に子どもたちには、歌を通してたくさん考え、成長してほしいですね。

◇地域の歌を次の世代へ
私が指導するこだまこども合唱団では、わらべうたを中心に練習しています。わらべうたとは、子どもたちの遊びの中で自然とできた曲のことです。有名なものだと、花いちもんめや、ゆうびんやさんなどですね。子どもの頃よく歌って遊んでいた人も多いのではないでしょうか。面白いことに、地域によって歌詞が違うこともあるんですよ。
日本に数多くあるわらべうたの多くは、楽譜がありません。なので、歌われないとすぐに消えてしまいます。こんなに面白い歌が消えてしまうのは、寂しいしもったいない。そう考えた時、先人たちが歌って遊んできたものを受け継ぎ、次の世代にバトンタッチをするのが、私の役目だと思いました。
子どもたちが大きくなった時、「昔遊んだわらべうた楽しかったな」「自分の子どもにも教えよう」そうやって歌を受け継ぐサイクルができればと思っています。

■寳部 大貴(TAKARABE HIROKI)
「伝統を広く後世に伝えていきたい」そう話すのは、脇田自治会青年会長の寳部大貴さん。幼い頃から脇田盆踊り大会に参加しており、今回青年会長として大会を運営しました。

◇受け継がれる伝統
柱松(はしらまつ)ってご存じですか。無病息災を願う伝統行事として、柱の上に松や花火を入れ、そこに松明(たいまつ)を投げ込み火を灯します。柱松に使う松は、松ヤニが多く出る犬鳴の肥松(こえまつ)を使っているので、一度火が付けば消えにくいのが特徴です。盆踊り大会の始まりの合図でもある柱松を楽しみにしている人も多いと思います。
毎年8月15日に開催する盆踊り大会。今年はあいにくの雨で、中止にするかギリギリまで迷いましたが、楽しみにしている人に残念な思いをしてほしくないという気持ちで開催に踏み切りました。いざ始まってみたら、雨なんか関係ないくらいの盛り上がりを見せ、無事に開催できたことに正直ほっとしています。

◇私たちにできること
私は、先人から受け継いだ柱松、歌、踊りなど全ての伝統を広く後世に伝えたいと考えています。地域の人に限らず、市外の人や海外の人にも伝えていきたいですね。
盆踊り大会は初めての人も参加しやすいよう、工夫しています。例えば、地域の広場を活用し、人が入りやすくしたり、みんなで声をかけあいながら踊ったり。多くの人が楽しめ、脇田地区の伝統に少しでも興味を持ってくれたらうれしいですね。
地域の絆、つながり、先人たちが残してくれた歌や踊りは、何物にも代えがたいものです。伝統を私たちの代で終わらせないためにも、多くの人に知ってもらえるよう、チラシを作ったり、市外の人に声をかけたりしています。
コロナ禍などで人と人とのつながりが希薄になりかけている昨今ですが、地域のイベントを通して、少しでも顔を合わせ、地域の絆、つながりを深めていきたいです。

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