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自治体の皆さまへ

あさくらびと No.23

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福岡県朝倉市

地域で話題になっている人や団体、企業などを紹介するシリーズ。
第23弾は、「美奈宜神社おくんち保存会」の荻野善美さんを取材しました。

■Interview
美奈宜神社
おくんち保存会会長 荻野(おぎの)善美(よしみ)さん
県指定無形民俗文化財である「蜷城の獅子舞」。無病息災と五穀豊穣祈願の祭りとして500年以上受け継がれています。
この獅子舞に欠かせないのが、保存会メンバーで製作する獅子蓑です。シュロの木皮(もくひ)からの蓑作り技術を有するのは、全国でも「美奈宜神社おくんち保存会」のみ。朝倉の貴重な伝統技法です。
(本紙写真は保存会のメンバー。荻野さんは前列左から2人目)

■恩師から受け継いだ蓑(みの)作りの技術を次の世代へ
◇恩師の技を受け継ぐ
本格的に獅子蓑を保存会で作ろうと決意したのは、平成26年の時。以前から、地元の氏子や保存会が10年ほどで作り替えてきました。しかし、時代とともに技を受け継ぐ人も減り、前回、保存会で作り替えた獅子蓑はすぐに壊れてしまいました。
そこで、蓑作りの名人である井上輝夫(てるお)さん(杷木松末)の指導を受けることに。蓑作りの材料は硬いシュロの木皮で、編み方を言葉で説明するのは難しいです。井上先生からは、まず要領を教わり、「あとは見よきない」と言われ、実践しながら覚えていきました。
蓑作りは本当に大変です。シュロを捻(ひね)って編んでいきますが、冬に編むと指先が痛んで血が滲(にじ)んできます。しかし、完成した獅子の姿を見ると大きな達成感があります。
井上先生から受け継いだこの技を、いかに次の世代へ継承していくかが大切だと思っています。

■各地からの製作依頼
時代とともに蓑作りを行う人も減り、シュロ製の蓑作りの技を持つのは、全国でもこの保存会だけとなりました。その影響もあり、市内外から地域行事で使用する蓑の製作依頼があります。
近年では、杷木古賀地区や久留米市柳瀬(やなぜ)地区の獅子蓑と腰蓑を製作。今年は、福岡市博多区金隈(かねのくま)の地域行事「金隈の鳶(とび)の水」で使用する蓑の製作依頼もありました。完成した蓑をお渡しした際には、とても喜んでいただき、作って良かったと思う瞬間でした。
保存会の活動は蓑作りだけではありません。おくんち行列の取りまとめや注連縄(しめなわ)作り、草鞋(わらじ)作り夏越祭(なごしさい)で使用する茅(ち)の輪作りも行っています。他の地域では、茅の輪や草鞋を作れる人は減ってきていますが、保存会があることで地域の伝統や技術が継承できていると思います。

■伝統や技術を次の世代へ
現在は、南陵中学校で獅子舞の授業を行ったり、各地区が担当している注連縄作りの指導を行ったりしています。保存会の存在意義は、伝統や技術の継承だと思います。継承してきた技を大事にしつつ、今の時代に沿った新しい考えも取り入れながら、引き続き保存会の活動を続けていきます。
今年も「蜷城おくんち」が開催予定です。ぜひ、たくさんの人に参加していただき、地域行事に愛着を持ってほしいと思います。

■会員募集中!
美奈宜神社おくんち保存会
シュロの繊維を水で濡らし束にして「ギュ!」と音が鳴るまで強く編み込む。1人で1日8時間作業した場合、1頭で約30日の作業日数がかかります。
※美奈宜神社HPの詳細は本紙またはPDF版をご覧ください。

■蜷城おくんち(秋季大祭)
「蜷城の獅子舞」をはじめ、神楽舞、四郎丸太鼓、子ども毛槍など、盛大に執り行われます。
日時:10月21日(土)神事10時30分~/おくだり13時30分~
場所:美奈宜神社(林田210)

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