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築上町の農業 ここがすごい

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福岡県築上町

築上町の基幹産業である農業。実は全国的に見てもすごいんです。町の農業のすごいところを今回は2つ、ご紹介します。

■(01)コロナ禍にもかかわらず視察の受入れ年13件!(令和4年度) SDGsを考える今の社会にぴったりな資源循環型農業
築上町では、し尿を発酵させた「液肥」を製造・販売し、町内で肥料として使用してもらうことで、有機系バイオマス資源を農地に還元する「資源循環型農業」を推進しています。全国に885のし尿処理施設がありますが、築上町のように資源化しているのは11施設(10自治体)ほど。この取組は全国的にもめずらしく、先進的な事例として毎年各地から視察を受け入れています。
し尿は私たち人間が生きていく中で必ず排出されるものです。それをただ処理するのではなく、肥料として有効活用し、その肥料で育てた食物がまた私たちのエネルギーになる、そのサイクルは持続可能で無駄がなく、環境にやさしいものです。

▽未来を見据えた資源循環授業
未来を担う子どもたちに食と農業について考えてもらう資源循環授業を行っています。令和4年度は町内3つの小学校で、町職員や農家の出前授業と施設見学の受入れを行いました。

▽全国初の液肥濃縮施設
液肥には食べ物由来の固形分が含まれています。散布する装置にこの固形分が詰まるため、ハウス栽培の作物に使用することができませんでした。
町は令和2年度に液肥の濃縮施設を建設し、固形分を含まず、肥料成分を濃縮した「濃縮液肥」の製造を始めました。従来の液肥に比べると、散布量が少なく済み、水に溶かした肥料を給水装置で与えて育てることが一般的なイチゴなどハウス栽培の作物にも使用できます。

▽産学官連携の共同研究
令和2年度から4年度まで、福岡県リサイクル総合研究事業化センターの支援を受けて、大学や民間企業との共同研究「濃縮バイオ液肥製造に関する事業化プロジェクト」を実施しました。濃縮液肥の可能性を探るため、町内の農業者や家庭菜園をしている方の協力を得て、新しい散布方法などの検証を行いました。
検証の結果、濃縮液肥を使った作物は、一般的な化学肥料を使用した場合とそん色なく育ち、収穫できることがわかりました。経費の削減にもなる液肥。これから利用が増えていくことが期待されます。

■(02)地域特産物生産・加工のスペシャリスト地域特産物マイスターが2人もいる!
地域特産物の生産・加工分野で卓越した技術・能力を有し、産地育成の指導者となる人材を認定・登録する「地域特産物マイスター制度」。技術の伝承と開発で、産地を維持・発展させることが目的です。認定されたマイスターは各地域の要望に応じて全国に派遣され、指導・助言を行います。
昨年度、築上町から2人の方が新たにマイスターに認定・登録されました。令和5年3月時点の登録者数は全国で232人、福岡県で4人。福岡県の登録者はこれまで2人でしたが、築上町から同時に2人が登録され、4人に倍増しました。県内登録者の半数が築上町の農業者であることに、町の農業が盛んであること、町の農業者が先進的な農業にチャレンジしていることがうかがえます。

▽田中愼太郎さん 認定品目もち麦
農研機構や県の普及指導センターと協力した、もち麦品種「くすもち二条」の試験栽培や種子生産、地力の低い干拓地での栽培技術の確立、循環型農業の実践などが評価されました。
-農業を始めたきっかけは?
10年前に一大決心し、勤めていた会社を辞めて家業を継ぎました。
-もち麦とは?
ねばりが強い大麦で、特に「くすもち二条」はぷりぷりした弾力が特徴です。血糖値上昇抑制効果のある食物繊維を含み、健康食材として注目されています。
-もち麦を作り始めたきっかけは?
7年前頃、米を納品していた老人ホームの方から「もち麦作っている?」と聞かれたこと。健康志向からもち麦の需要が増えていたが、当時は外国産が主流で国産はめずらしかったので、作ってみようと思いました。
-もち麦作りで苦労したことは?
苦労し過ぎてあまり覚えていません(笑)。毎日気温を測り、肥料や種の量を変えて何パターンも栽培し、どれが一番量が取れるか比較・分析しました。前例がなく暗中模索でした。
-農業で心がけていることは?
土壌分析から行う土づくり、勘に頼らない論理的な農業を行っています。
-今後めざすことは?
スマート農業(※)の実現化に取り組んでいます。さらなる販路開拓や農業の魅力発信も含めてモデル農家として頑張っていきたいです。
※ロボット、AIなど先端技術を活用する農業

▽中安洋子さん 認定品目キクイモ
長年のキクイモ栽培経験を生かした産地づくり・特産化、レシピや加工品の開発、元気づくり(協)や大学との連携、地元小学校の体験受入れなどが評価されました。ゼロから産地を作るノウハウをお持ちです。
-キクイモ作りを始めたきっかけは?
父親が味噌漬けを作って売っていて、その食材の1つとしてずっと作っていました。元々は家庭菜園レベルでした。糖尿病の知り合いが長野県からキクイモを取り寄せていることを知り、「これからは健康ブーム。作った方がよいのでは」と思い、父親から引き継ぎ、だんだん作る量を増やしていきました。
-キクイモ作りで苦労したことは?
ほかにキクイモを作っている人がおらず、種芋も売っていないし、「これは病気の症状なのか」など疑問をどこに聞いてもわからなかったことです。結局、手探りで試行錯誤し、自分の感覚で覚えていきました。
-築上町はキクイモ産地日本一なの?
正式な統計がないので公式には言えませんが、作付面積日本一!のはずです。
-今後めざすことは?
キクイモはまだマイナーな野菜です。マイスターになったことでキクイモがもっと認知されればと思います。スーパーなどで販売されているキクイモは状態が悪いものもあり、これではキクイモの本当のおいしさが伝わらない、やり方を教えたいと思いました。とにかくキクイモを広めたいです。

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