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自治体の皆さまへ

2024 水問題の最前線

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福岡県行橋市

令和6年元旦、新年を祝う団欒を直撃した突然の出来事に、手が止まった方も多いのではないでしょうか。
能登半島地震の被災地では、未だに断水が続いている地域があります。
「蛇口をひねれば水が出てくる」
そんな日常を奪われた姿が連日報道されていますが、この地域でも「渇水」という名に変えて現実味を帯びてきています。

◆渇水と異常気象
国土交通省「日本の水資源(水資源白書)」によると、気候変動の影響で水需給バランスが地域的、時期的に不安定になる可能性を示しており、水源の多様化を図るとともに、節水の取り組みを進めるなど「水を賢く使う社会」の構築が必要だとしています。
さらに、過去100年で降水量が多い年と少ない年の変動幅が拡大。近年は少雨化の傾向がみられ、ダムなどの水資源施設が計画上の供給能力を発揮できなくなっていく可能性があると指摘しています。
実はこの指摘がされた白書は2011年に発行されたものです。それから13年が経過し、温暖化を始めとする異常気象の度合が高まる中、市の水がめである油木ダムでもその影響が顕著に現れています。令和に入り、貯水率30%を下回った回数は4回、貯水率20%を下回った回数は3回となっています。これらは平成に比べ、明らかに頻発しています。特に今年の行橋市では、2月現在の貯水率が20%代となっており、前例にない水不足が懸念されています。
このまま少雨で4月~5月の農繁期を迎えれば、事態がさらに深刻化し、最悪の場合には「断水」も想定しなければなりません。

◇なぜ伊良原ダムから水をもらえないの?
行橋市は伊良原ダムから取水している京築地区水道企業団から日あたり3,800立方メートルの水量で協定を結び購入しています。伊良原ダムは他の自治体にも水の供給を行っているため、すべてを行橋市に供給することはできません。また、水を供給するための配水管について、協定を結んだ水量3,800立方メートルを送水するのに必要な最低限の送水能力となっており、現状から大幅に送水量を増やすことはできないのが現状です。

◆解決への道すじ ー水源の多様化の意義ー
近年の渇水の主な原因は前述の通り、異常気象の増加が考えられますが、行橋市を含む当地域では、加えて主要水源である油木ダムの貯水能力の問題もあります。貯水率低下が生じやすい傾向の油木ダムへの依存度が、行橋市では現在84%と非常に高く、油木ダムの貯水率低下がそのまま行橋市の渇水リスクとなっている現状です。現在、行橋市の日あたり計画最大給水量は23,800平方メートルで、そのうち20,000平方メートルは主要水源である油木ダムから流下する水を行橋市の浄水場で浄化したもので、全体の約84%、残りの3,800平方メートル、全体の16%は京築地区水道企業団(以下、企業団)から購入しています。(図1)そこで解決への道すじとして、この高い依存度を低減させるために水源の多様化を考えています。具体的には北九州市から水を購入する事業として行橋市・北九州市・苅田町で「水道事業の広域連携」を進めていきます。
広域連携が実現すると、行橋市は北九州市から最大7,200平方メートルの水を購入できるようになるため、油木ダム約53%、伊良原ダムを水源とする企業団からの浄水受水が約16%、北九州市からの浄水受水が約31%なり、油木ダムへの依存度が大幅に改善されることになります。(図2)また、広域連携後は、北九州市・行橋市・苅田町合わせて最大約9,700立方メートル/日の水を今川(油木ダム由来)から使用しなくなり、今川の使用量を低下させること、つまり油木ダムの貯水量を温存させる効果があり、このことも渇水リスクの低減につながります。
現在、気候変動の影響により、水需給のバランスが地域的、時期的に不安定化していく可能性は非常に高くなっています。そのため、行橋市では気象条件に左右されにくい新たな水源の確保を進めていきます。

[図1]before

市では、水源の8割以上を油木ダムに依存しています。

[図2]after

広域連携事業後は、渇水や断水のリスクが低減されます。

◇各月1日の貯水量

◇私たち一人ひとりの節水が日常を守ります。
・蛇口をこまめに閉める
流しながら食器を洗うと平均110ℓ ⇒ため洗いで約20ℓ、月に約540円節約
・シャワーをこまめに止める
1分間流すと約12ℓ ⇒毎日10分間短縮すると月に約720円の節約
・洗濯はためすすぎする
注水すすぎではなく、ためすすぎで約55ℓの節水 ⇒月に約330円の節約
・洗車はバケツを使う
毎週洗車する場合、ホースではなくバケツを使うと210ℓの節水 ⇒月に約168円の節約

お問合せ:上水道課
【電話】内線1267

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