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特集 大切なのは人と人との思いやり~共に生きる多文化共生とは~(1)

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福岡県遠賀町

近年、町内で外国人を見かけることが増えたと思いませんか。その多くは、町内の企業で働く「技能実習生」。今後も外国人労働者の数は増加することが予想されます。
皆さんは「(日本人として)外国人と働く」、「(外国人として)日本という外国で暮らす・働く」ことを想像した時、どのような思いを抱きますか?
また、お互いが心地よく働き生活するためには、どのようなことが大切だと思いますか?
今回は、3年前から技能実習生を受け入れている「株式会社福祉人」の佐伯涼子さん、1年前にミャンマーから来日し、株式会社福祉人で高齢者介護に携わっているシュエジンテーさんとタンダーアウンさんに、お話を聞きました。

■プロフィール紹介
・佐伯涼子さん
高齢・障がい福祉事業を行う「株式会社福祉人」の事業推進部部長。20代のころに外国在住経験あり。遠賀町国際交流クラブ会員でもある。
・タンダーアウンさん(愛称:アウンさん)
・シュエジンテーさん(愛称:テーさん)
令和4年に介護職の技能実習生としてミャンマーから来日し、「株式会社福祉人」で実習中。遠賀町国際交流クラブが運営する日本語教室にも毎回参加し、仕事に語学勉強に一生懸命取り組んでいる。

■遠賀町に住む外国人の数は?
令和5年7月末現在、遠賀町に住んでいる外国人は258人。その約半数が、技能実習生として町内で働いています。
また、下表のとおり、ベトナム、韓国、中国の順に多く、さまざまな国から遠賀町に来ていることが分かります。

■ミャンマーってどんな国?
ミャンマーは東南アジアに位置しており、インド、バングラデシュ、中国、ラオス、タイと国境を接しています。
首都はネーピードー、国土は68万平方キロメートルで日本の1.8倍。しかし、人口は5,114万人と日本よりも少ないです。
※地図は、本紙をご覧ください。

■日本人として「外国人と働く」側の思い
◇なぜ技能実習生を受け入れることになったのですか?
きっかけは「介護の分野で培ってきた技術や考え方、ご利用者さまへの思いなどを発展途上国に伝えたい」という弊社の思いです。
現時点で、高齢社会ではない発展途上国も、医療体制が整って平均寿命が伸びれば、日本と同じように介護の問題に直面します。
そのような発展途上国に、単なる介護技術だけでなく「その方」の価値観を尊重し、寄り添う気持ちを伝えるため、技能実習生の受け入れを始めました。

◇受け入れの際に気をつけたことは?
技能実習生を受け入れることによって、現場の職員がどんなことに対して大変さや不安を感じるかを想像し「会社として受け入れる目的や思い」「技能実習という制度と目的」「実習生の国の文化や国民性」を、受け入れ先の職員へ丁寧に説明しました。
また、受け入れ前に技能実習生と職員との顔合わせをオンラインで行いました。
顔が見える関係性を築くことで、職員に「この外国人を受け入れる!」という意識を持ってもらいたかったのと同時に、技能実習生にも安心して弊社に来てもらいたかったからです。
この取り組みの甲斐あってか、各事業所では、職員の顔写真と名前入りの色紙を準備して実習生を温かく迎え入れてくれました。

◇実際に受け入れてみてよかったことは?
「職場の雰囲気が明るくなった」「職員の指導力が向上した」「職員のチームワークが強くなった」「ご利用者さまも生き生き明るくなった」などよかったことばかりです!
実習生と日本人が必ず直面する言葉の壁。それを乗り越え、介護技術を得ようと、相手と目線を合わせて一生懸命聞き・話す実習生との関わりによって、職員の間に「相手が何に困っているのかしっかり尋ねよう」「相手が理解するまでしっかり丁寧に伝えよう」という意識がさらに高まりました。
このように「相手を思いやりながらコミュニケーションをとる」ということは、人を相手にする介護の分野にとってはとても大切なこと。その意識が、実習生の姿によって職場全体で高まったことは本当によかったです。
また、ご利用者さまにとって、実習生は「孫世代」。いつも一生懸命な実習生とのふれあいをとても楽しみにしているようです。
受け入れてから半年は、会社も実習生も不安を抱えていましたが、それを乗り越えて得たものはとても大きいです。

◇共に働く上で、取り組んでいることや気をつけていることは?
実習生は入国前に日本語や介護について学んできます。しかし、言葉も文化も違う国で働くことは簡単ではありません。
そのため、受け入れ後すぐに研修を行い、会社の理念や働く事業所の概要、日本の介護の現状、ご利用者さまの人権など、さまざまな観点から日本における介護という仕事についてしっかり理解してもらいます。
また、入社から半年間は、隔週で1時間半の日本語学習と実践的な介護の技術研修を行っており、その後も日本語学習は担当職員が定期的に行っています。このような研修が実習生の不安を取り除き、自信を生むことにもつながります。また、常に仕事や生活の「悩みや不安」がないか気を配り、いつもと様子が違うときはすぐに声をかけるようにしています。
各事業所でも職員と実習生が「気軽に相談できる関係性」を築くようにしており、悩みの内容に応じて誰にでも相談できる職場づくりに努めています。

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