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意見発表(1)

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福岡県那珂川市

◆安心できる居場所づくりを目指して
・那珂川南中学校 3年 藤山 和(ふじやま のどか)
みなさんは、このような経験をしたことがありませんか?大好きな友だちがいたから、学校生活を頑張れた。高め合う仲間がいたから、部活動の練習に打ち込めた。支えてくれる家族がいたから、辛いことも乗り越えられた︱。私にはその経験があります。
私は、今年の体育祭で実行委員長を務めました。「自分にそんな大役がつとまるのだろうか-。」体育祭の練習期間は、毎日プレッシャーに押しつぶされそうになっていました。でも、その中で最後までやり遂げることができたのは、周りのたくさんの支えがあったからでした。私を励まし、温かく見守ってくれた友人、家族、先生方。そして、毎日私の話を真剣に聞いてくれた中学校のみんな。
多くの支えのおかげで私は、実行委員長としての役を果たし、体育祭を無事終えることができました。
この経験で私が大きく感じたのは、「認められる」大切さです。私が最後まで頑張れたのは、みんなが「私」という「存在」を認めてくれたからだと思います。「『存在』を認める」ことは、「大丈夫だよ」という「居場所」が与えられること、「安心」できることにつながると私は考えます。でも、これは「あたりまえ」のことではないと感じます。
私は、那珂川南中学校の生徒会役員を務めています。現在私の学校には、欠席が続く人たちがいます。その中には、学校を「居心地がよい」場所だと思っていない人がいるのかもしれません。学校に不安を感じる人たちへ、「大丈夫だよ」という居場所を作ることができないか。私たち生徒会役員は、リーダー研修や生徒総会を通して「みんなが安心して通える那珂川南中学校」を目指し、互いに感謝の思いを伝えるメッセージカードづくりや、欠席したクラスメイトへ手紙を届けることなど、さまざまな取り組みを行ってきました。
「居場所づくり」が必要なのは、学校だけではありません。私たちが暮らす社会にも「居場所」がなく、不安な思いをしている人が多くいるのではないでしょうか。ネットやテレビでは、非行に走り犯罪に手を染める人のニュースを多く見聞きします。犯罪は、決してあってはならないことです。しかし、一人ひとりに目を向けたとき、その犯罪の背景にはさまざまな悩みや苦しみがあるのかもしれません。「生きづらさ」を抱える人たちが、大きな壁にぶつかり、辛いことがあるにも関わらず一人で抱え続けたならば、その人は一体どうなってしまうのでしょうか。
中学生の私には、世の中の非行や犯罪をなくすことはできないかもしれません。でも、中学校での「居場所づくり」は行えます。これからも、生徒会での活動を通して、「自分」のことも「仲間」のことも大切にすることを伝えていきたいです。私たちが大人になり、孤独を感じたときに互いに声をかけ合える関係や安心できる「居場所づくり」をこれからも広めていきます。
先日社会の時間に福岡県出身の医師、中村哲さんが好んで使っていた言葉を紹介されました。それは「一隅を照らす」、「今いる場所で希望の灯をともす」という意味です。私は、この中学時代にリーダーとして経験してきたことを、社会でも活かし、「弱い立場の人にも希望の灯をともす」人になりたい-。
そのために自分が「今」しかできないことを実行していく、それが私の「使命」です。

◆当事者意識をもって
・福岡女子商業高等学校 1年 中山 楓梨(なかやま かりん)
もし、みなさんと同じ地域に住む大切な人が非行に走ったり、凶悪な犯罪をしてしまったりしたらどうしますか。犯罪・非行。凶悪であればあるほど、私は「怖い」と思い、距離を置いてしまうかもしれないと思いました。
まず、日本の、そして私の通っている福岡女子商業高校がある那珂川市の現状を調査しました。警視庁によると昨年度の全国の犯罪件数は60万件を超えていました。この数字を見て私は驚きました。また、法務省には「検挙人員に占める再犯者の割合は、犯罪・非行をした人の5割近くにもなっている。」とありました。「半数?では30万人が再犯者?」
罪を犯す人の動機や背景は様々あると思いますが、その半数が再び罪を犯すような現状の原因は何なのか、考えました。わたしはその大きな要因にSNSが挙げられると思います。罪を犯したことがある人の情報を検索すると、住所、電話番号、家族の名前、職業に至る個人情報を瞬時に知ることができる今の時代は、犯罪をした人の立ち直りを困難にしています。いったんさらされた情報は、拡散され、人々の記憶に刻まれてしまうからです。「怖いな」「距離を置こう」そんな小さな考えが、家族や地域社会とのつながり、居場所、仕事が見つからないという結果につながってしまっています。「私も思いもよらないうちに多発する再犯の一端を担っていた。」そんなことに気がつきました。次に、那珂川市の犯罪について調べました。今年に入って5ヶ月の調査では、昨年55件だったものが130件へと倍増していました。全国平均からすれば那珂川市は平和な状態で、立ち直ることのできないほどの凶悪犯罪はありません。それは、今回のように、様々な世代の方が集まり、一緒に考えることができる啓発活動の機会があり、犯罪非行のない地域社会づくりが浸透しているからだと思います。
しかし、なぜ件数は倍増してしまったのでしょうか。その原因のひとつには、5類に引き下げられた新型コロナウイルスの影響があると考えます。私も中体連、中文連、修学旅行、卒業式、入学式など楽しみにしていた行事の縮小を余儀なくされてしまった世代の一人です。見守り活動も一時取りやめになったり、お祭りも中止になったりしました。「アタリマエ」のことが当たり前にできないもどかしさ、我慢の日々の中で、孤独を感じ、自分勝手な行動を取ってしまう人が生まれてしまったのでしょうか。
コロナ禍を体験し、私たちは改めて「おはよう」「いってらっしゃい」に始まる会話の大切さや地域の行事、地域の絆、そして地域に誇りを持ち、愛することの重要性に改めて気づきました。「挑戦を楽しめ」は私たちの学校の合言葉ですが、地域においても「挑戦を楽しむ」気持ちを持ち続けることが必要だと思います。自分勝手な行動を反省し、立ち直りたいという人がいたら、保護司の方々や行政にお任せするのではなく、当事者意識をもってその人や地域に関わり、SNSの情報をすべて信じることなく、自分の価値観で情報を見極めること。私にも「挑戦」できることはきっとあると思います。

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