文字サイズ
自治体の皆さまへ

意見発表(2)

18/45

福岡県那珂川市

◆不器用ながらのSOS
・那珂川市立那珂川中学校 3年 渡邉 藍(わたなべ あい)
約九年前、ベンチで寝ていた男性がナイフで襲われ、死亡する事件が起きました。加害者は当時二十歳の男性で「バイトをクビになり、家がなく、人生が嫌になった。死刑になりたかった。」と供述しました。
私はこの話を知ったとき「たったそれだけのことで?」と思ってしまいました。また次のバイト先を見つければいい、そう考えました。しかし、そう上手くいくのでしょうか。彼には家がありません。バイト先を見つけることはできても、家を見つけて、ましてや住み続けることなんて、簡単なことではないのです。彼のように、罪を犯して死刑になることで命を絶とうとすることを「間接自殺」と言います。「人の命を利用するだなんて身勝手すぎる」「罪の重さを分かっていないんじゃないか」そんな風に考える人もいるかもしれません。
しかし、自殺を試みるのには必ず意味があります。私は、自殺を試みる人には共通の目的があると思います。それは、自分を守ること。誰かに傷つけられたり、自分はダメな人間だと責めてしまったり。状況はさまざまかもしれません。しかし、みな最終的には「こんな人生早く終わらせて楽になりたい」と考え、実行してしまうのです。来世では幸せになれることを祈って、自分がこれ以上傷つかないように今の人生を諦めていくのです。
そしてもう一つ。彼らは私たちに助けを求めています。一人ではどうしようもできない、だけど「助けて」なんて言う勇気なんてない、言いたい、でも言えない。だから行動で示すんです。これは自殺に限ったことではありません。言葉では発していないかもしれません。自分なりに行動し、不器用ながら、必死に手を伸ばしているのです。
もしSOSのサインに気づいたときは、迷わず手を差し伸べましょう。普段は手を貸さないくせに、誰かが失敗したり、罪を犯したりしたときだけ責めるだなんて卑怯です。今は幸せに生活している人も、少し環境が変わればSOSを出す側になっていたかもしれないということを忘れないでください。
私は、小さい頃からすぐ人のことを傷つけるような人間でした。自分の過ちに気づかず、配慮のない言葉をポンポン発してしまっていました。しかし、それでは社会は良い方向に向かっていきません。私は友達に言われて、やっと最近自分のデリカシーのなさに気づけました。犯罪や非行のない地域社会をつくるためには、お互いがお互いを気遣うことが大前提です。世の中が優しさで溢れ、一人で抱え込まなくてもいいようになれば、明るい社会に一歩近づくのではないでしょうか。

◆明るい社会への、一歩
・那珂川北中学校 3年 今村 奏満(いまむら そうま)
今日も犯罪をした人のニュースが流れていた。それを見て、ふと疑問に思った。なぜ、犯罪をする人のニュースが毎日流れ続けるのだろうか、どうして犯罪という行動に至ってしまったのだろうか。
そこで、警察庁令和四年の犯罪情勢のホームページを見ると、令和三年までは、犯罪件数が減少していたが、令和四年になると、令和三年に比べ、五・九%も犯罪件数が増加していることがわかった。さらに、警察庁が十五歳以上の男女五千人を対象に「ここ十年で治安は良くなったと思うか」というアンケートを取ると、六割以上の人が悪くなったと回答している状況があった。
次に、犯罪に手を染めてしまう人が絶えない理由を考えてみた。普段温厚な人や明るい人でも、犯罪に手を染めてしまうケースがある。私は、そういった人ほど、自分の気持ちを伝えずに、ため込んでしまったり、気を遣って我慢したりしているのではないのかな、と思う。
私自身、過去に嫌なあだ名で呼ばれたり、触れられたくないことを引っ張り出されたりして、バカにされた経験がある。それが続いた時には、何もやる気が起きず、ぼーっとしたり、学校に行きたくないという思いでいっぱいになったりしたことがある。その後、私が犯罪に手を染める、ということはなかったけれど、このように他者から受ける、辛い出来事が重なると、いい人とか、悪い人とか関係なく、犯罪に至ってしまうのではないか、と考えた。たとえ、たった一言の言葉でも人を悪い道に進ませるきっかけになってしまうのではないか、とも考えた。
近年は、ネットで悪口を書く人が増えており、そのため、侮辱罪というものもできるくらいにひどくなっている状況がある。発信する側が何気なく書いた言葉や、思いやりのない接し方によって、犯罪をしないような人たちを、犯罪に手を染めてしまう人に変えてしまったり、更生しようと努力している人をまた、犯罪においやったりしているのではないだろうか。
では、私たちに一体何をすることができるだろうか。これから先、軽い冗談のつもりでひどい言葉を掛けないように気を遣ったり、誰かを助けるために励ましたりすることができるだろうか。正直、全ての人に対して実行できる自信はない。それでも、普段自分の周りにいる人に気を配ることをしていきたい。何気ない一言で傷つけてしまうことがあるのと同時に、ちょっとした一言や、ちょっとした挨拶で人を救うこともある。自分がつらい経験をしたことがあるからこそ、思いやることの大切さに気づくことができた。負の連鎖で、犯罪者を生むのではなく、思いやりのつながりで、温かい社会を築いていくための一歩を、私は踏み出したい。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU