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自治体の皆さまへ

光、水、土の恵みをたくさん受けておいしいお米ができますように(2)

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福島県いわき市

■有機農業への挑戦
ー人にも、自然にも、生物にも、やさしい農業を。ー
あじま農園
安島(あじま)美光(よしみつ)さん

有機農業とは、自然や生き物との「調和・循環」を大切にし、化学的に合成された肥料や農薬を使用せず、遺伝子組み換え技術も利用せずに、環境への負荷をできるだけ減らしながら農作物を作る農業形態です。
食の安全や健康への関心が高まってきている中「有機栽培」「オーガニック」といった言葉の認知も広がっていますが、その栽培過程は通常の栽培よりも多くの手間暇がかかります。
さらに、国が定めた基準を毎年クリアし、「有機JAS認証」を取得・継続した生産者だけしか販売することができません。
本特集では、山田町にて有機農業の発展・拡大に親子で取り組む「あじま農園」の挑戦を紹介します。

◇豊かな自然を回復させたい
有機農業の大きな特徴として、生物多様性の保全と環境負荷の低減が挙げられます。化学肥料や農薬は、土壌の有機質を減らし、性質を変えてしまうことがあります。
結果として、土に生息する虫や、その虫を食べる動物などに影響を与え、周辺の生態系を壊してしまう可能性があります。水や土などの環境を守りながら安全なコメを生産し、メダカやホタルなどが戻ってくるような、豊かな自然を回復させたいです。

◇食味へのこだわり
化学肥料や農薬に頼らず、コメ本来のおいしさを引き出すためには、春先の田起こしから、育苗、生育管理、草対策といった一つ一つのプロセスを工夫しています。特に、苗づくりに関しては、ポット苗を使用し、一株一株を大切に、強く育てています。
また、コメの食味には特にこだわっており、これまで「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」で、特別優秀賞を2回受賞することができました。

◇仲間と共に
自分たちのコメの品質を高めて終わりではなく、有機農業の重要性を幅広く伝えるとともに、多くの農業者と協力し合い、地元に根付いた有機農業を発展させていきたいと考えています。そのために有機農業仲間と環境保全型農業研究会「農Limit」を結成し、有機農業者の拡大や有機農法のさらなる追求などに取り組んでいます。また、新規就農希望者の育成も手掛けていきたいと思っています。

■農業は復興の原動力だ!
いわき市長 内田 広之

いわきの農産品のおいしさと栄養は、我々のプライド。それらをしっかり守り、次世代に引き継いでいかなければいけません。しかし、就農人口は減り続けています。
だからこそ、若い力や新しい技術も使い、盛り上げていかなければなりません。
すでにテレビや新聞で知った方もいるでしょうが、4月に、国は「福島国際研究教育機構(エフレイ)」を設立。国は、このエフレイを復興の総仕上げの研究所とし、国内外から数百名の研究者を浜通りに呼び込み、これから7年間で約1千億円の事業規模で、農林水産業をはじめ、ロボット、エネルギー、放射線科学などで、世界トップレベルの研究が展開されます。
そして、いわき市にも4月に「エフレイいわき出張所」(県内初!)を設立してもらいました。市役所職員も協力し、農業研究者と地元農家をつなぎ、スマート農業や有機農業、6次化などの研究を進めます。農業好きの若者は、着実に増えています。従来型の農業もしっかり守り、引き継ぎながら「就農者×若者」で、チャレンジも並行して進める。これしか方法はありません。
市役所も知恵をしぼります。共に頑張りましょう!

■豊作よりも大切なこと さらなる挑戦へ
有機農業は手間がかかります。生産量も慣行栽培に比べると多くはありません。
それでも、有機農業に挑戦し続けるのは、いわきの光、水、土の恵みを受けた安心安全なコメを消費者に届けたい、そしてそのコメをおいしく食べてもらいたい、この二つに尽きます。
消費者の皆さんに、オーガニックのコメや野菜を食べていただき、有機農業が持つさまざまな価値を知ってもらう。そして、有機栽培の作物への選択が広がり、有機農業が拡大していく。その中で、土壌が健やかになり、豊かな自然環境や生態系が回復していく。この好循環をいわきの地で生み出していきたいです。
将来的には、市内の学校給食でオーガニック食品を提供する夢があります。アレルギーや好き嫌いがあるお子さんでも安心して給食が食べられる、農業からこうした挑戦を今後も続けていきたいです。

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