■謎の阿蘭陀(おらんだ)焼
◇令和5年度第1回企画展
亀岡正元家文書の世界
9/25(月)まで
伊達市保原歴史文化資料館
伊達市保原歴史文化資料館では現在、企画展「亀岡正元家文書の世界」を開催中で、約50点の資料を展示しています。今回はその中から「阿蘭陀焼」の陶器を紹介します。
阿蘭陀焼とは、オランダの東インド会社によって日本に輸入された陶磁器全体の総称で、江戸時代、大名・茶人に珍重されました。
展示品の阿蘭陀焼は、高台付の菊形皿で、直径約20センチ、高さ約4センチです。内面には赤・緑色で草花文(そうかもん)・ツル・小鳥が描かれ、割れた部分は接着剤(にかわ)で修復されています。
桐箱入りで、蓋の表には「菊形皿阿蘭陀之品」の文字、裏には江戸時代後半の文政年間(1818~1829)に長崎へ学びに出かけた人※が、当地で購入した品であると書かれています。その後、手紙付きで正元の手に渡りました。
しかしこの陶器は、色調・つくり方・焼成などから阿蘭陀焼ではなく、九州産の可能性が高いと考えられています。
真贋はさておき、持ち主が江戸時代後半に長崎まで遊学していたことを考えると、伊達地方は蚕種製造や養蚕業が盛んで、経済的に豊かな豪農たちもいたことがわかる資料といえます。
※伊達地方の農家であったと推察される
<この記事についてアンケートにご協力ください。>