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町史編さん調査余話(68)

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福島県会津坂下町

■旧五十嵐家住宅(4)
どんな民家が古いか~共通の特徴(仕上げ編)~
先月に引き続き、古い民家の特徴としてあげた七つの特徴の中から、柱などの仕上げに利用していた「手斧と鉋」を紹介します。
日本の建物の大部分は木造建築です。用材である材木の表面を仕上げる道具には手斧(ちょうな)や鉋(かんな)がありますが、手斧仕上げの建物の方が古いといわれています。
・鉋(かんな)…木材の表面を薄く削ることができる大工道具。今でも利用しているところを目にすることがある。
・手斧(ちょうな)…大工道具のひとつで、主に片手で振る小型の斧。昔は木の加工に使用されていた。

鉋は戦国時代の終わり頃に社寺建築に使われ始め、民家では遅れて桃山時代から江戸時代に入って使用されるようになります。当時としては高級な道具で、その使用技術を習得した大工が必要でした。大工は社寺や武士団の組織の中で仕事をしていたので、一般庶民や地方下級層の民家に利用するようになるのは後の時代です。

一般に鉋仕上げは(※)肝きもいり煎や検けんだん断などの村役人や町役人層の座敷に使われ、次第に家人の暮らす日常間部分に広がる傾向が見られます。同時期でも庶民の家では、手斧仕上げが一般的でした。地方で鉋仕上げが普及するのは︑18世紀後半以降のことです。

会津坂下町ではどうでしょうか。旧五十嵐家住宅は会津地方の平坦部の中堅農家で、「享保十四年」(1729)の墨書名が残ります。建てた時代が分かり、その時代の会津の建築技術、大工道具が分かり、他の地方との比較により日本全体での歴史も分かります。こうした意味で旧五十嵐家住宅は貴重な文化財といえます。

※肝煎…江戸幕府の職名、支配役世話人。村役人・庄屋・名主などのこと。
※検断…中世の日本において、警察・治安維持・刑事裁判に係わる行為を執行するもの。

問い合わせ:町史編さん室
【電話】83-3010
※中央公民館2階にて『会津坂下町史』を販売しています。(平日午前8時30分〜午後5時)

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