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高校生発 ロールモデルをみつけよう!LET’S GO

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福島県南相馬市

19人の高校生が「憧れの大人」を取材

小浜製作所
代表取締役 川岸邦彦さん

◆大震災の逆境
40年の歩みを持つ小浜製作所ですが、会社の存続を揺るがす大きな試練がありました。2011年の東日本大震災です。原町区沿岸部の工場はかろうじて津波の被害を受けずに済みましたが、周辺は瓦礫(がれき)で埋め尽くされました。さらに、工場は福島第一原発の半径20km圏内にあったため、避難しなければなりませんでした。工場が使えないことは製造業にとって致命的です。8カ月後にようやく再開へこぎつけた時、仕事の受注はなくなっていました。

◆逆境からの進化
川岸さんは「このままではいけない」と、大きく舵(かじ)を切ることを決意します。従来手掛けてきた産業装置の部品製造から、全く経験のない「試作品製造」へと動き出します。試作品とは、世の中に出る前のまさに前例のない新製品の原型であり、製作可能かすら分からない無理難題ばかりの分野です。しかし、新たな挑戦が、それまでも難度の高い金属加工の実績を積み上げてきた小浜製作所をさらなる成長に繋(つな)がります。航空宇宙分野や医療機器、自動車の関連など、様々(さまざま)な試作品製造を果敢に手がけ、信頼を積み重ねていきました。「震災によって仕事を奪われたが、それが私たちにとってターニングポイントになり、多方面から評価をいただけた」。川岸さんが語るように、試作品製造を機に小浜製作所の事業分野は広がり、あらゆる業界から信頼される会社へと発展し続けています。

◆川岸さんが目指す製造業の姿
製造業の理想的な姿が川岸さんの中で明確になったのは、「製造業の本場・ドイツ」を見学した際、残業がなく社員の私生活も大切にするドイツの製造業の姿に触れた時です。残業が多く大変という日本の製造業のイメージを自分たちが変えていくことで、若い世代に「モノづくりの世界」の本来の魅力が伝わって欲しいと願うようになりました。川岸さんが考える会社像には、社員を思う人柄が強く出ていて素敵だなと思いました。

◆諦めずにチャレンジしてほしい
「何事にも全力で取り組み諦めずに挑戦していくことを大事にしてほしい、一つ一つのチャレンジがその人の可能性を広げていくんだ」とご自身の経験を基に力強く話す川岸さんの言葉が、私たち高校生の胸に響きました。

●編集後記
大震災というかつてない事態に見舞われながらも、努力と挑戦を続けてきた姿に感銘を受けました。初めから不可能と決めつけず「まず、やってみる」という挑戦する姿勢を私たちも大切にしたいと思います。また、次世代のために製造業のイメージを変えたいという情熱を持つ経営者が地元で活躍していることに対して誇りを強く感じるとともに、私たちが知らない南相馬の魅力がまだたくさんあることに気づきました。南相馬の魅力をもっと発見して記事に起こし、同じ高校生や市民の皆さんに発信していきます。
編集部員代表 原町高校2年 西内 春満(はるみ)さん

(一般社団法人あすびと福島編集協力)

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