■令和6年度に重点的に取り組む施策
I 生活環境について
現在、双葉町内に約100名の町民が生活しておりますが、JR双葉駅西側に双葉町に帰還する人や移住する人の受皿となる「住む拠点」として、災害公営住宅、再生賃貸住宅86戸の整備を進めており、本年5月末には残りの47戸の住宅が完成することから、居住人口の増加が期待されます。
生活関連施設としては、昨年8月に産業交流センター内にコンビニエンスストアがオープンしたところであります。また駅周辺に公設商業施設の整備を進めており、役場庁舎北側にスーパーをはじめ、町体育館跡地に飲食店3店舗の事業者が決まり、現在、建物の設計を進めており、令和6年度には工事に着手し、令和7年度にオープン予定となっております。
住む拠点以外に住宅の新築並びにリフォーム等により双葉町に帰還、移住する人のための支援についてでありますが、来訪者や移住を検討されている方々等に向けた情報を発信するため、復興支援員を配置するとともに、新たな関係人口創出のために狙いを絞った情報発信やシンポジウムを開催してまいります。
また、移住定住対策については、空き家・空き地バンクを設置・活用するとともに、移住定住者を受け入れる体制整備を強化してまいります。県外から移住される方々が住宅を取得、リフォームに要する経費の支援を行ってまいります。
町民の皆さんが帰還するための支援策としては、帰還にあたっての各種支援制度や留意事項などを記載した「帰町のしおり」を引き続き作成し、各世帯に配付することにより、町民の皆さんの帰還意識を醸成してまいります。
また、長期にわたって維持管理できていなかった住宅の清掃費や帰還に伴う移転費用の一部を引き続き補助してまいります。
帰還促進住宅支援事業として帰還する町民の皆さんの個人住宅の新築・修繕や、中古住宅を取得する費用の一部を補助し、多くの町民の皆さんの帰還を支援してまいります。
インフラの整備・復旧としては、先に認定を受けた特定帰還居住区域の先行除染の進捗状況を踏まえ、同区域の震災で被災した町道を復旧させるため、測量設計を実施してまいります。
「防犯・防火・防災体制の強化」については昨年、双葉町消防団第1分団、第2分団の屯所が完成するとともに、10月にはJR双葉駅前において震災後初めて町内で双葉町消防団秋季検閲式を行い、地域の防火、防災体制が一層強化されています。
さらに、双葉町内一円の防犯・防災のため、365日24時間体制でパトロールを継続して実施してまいります。
また、引き続き避難指示解除区域内及び特別通過交通制度の適用道路沿線の既存防犯灯の復旧及び新設を行い、夜間における住民の安全確保及び犯罪被害の未然防止を図ってまいります。
II 産業・エネルギーについて
「働く拠点」としての中野地区復興産業拠点では、昨年4月に浅野撚糸株式会社双葉事業所がグランドオープンし、6月には温浴施設と食事処を兼ねた「さくらの里双葉」がオープン。10月には大和ライフネクスト株式会社、12月には東日本ロハス株式会社、また、本年2月には株式会社エイブルとの企業立地協定を締結しました。現在23件の企業と企業立地協定を締結しており、そのうち18社が操業を開始しております。
なお、中野地区復興産業拠点整備にかかる基盤整備工事は令和8年度まで予定しております。
営農再開については現在、町内の6地区において、除染後農地の保全管理を行っていますが、国の補助金による保全管理が原則令和6年度で終了することから、令和7年度以降の営農再開に向けて取り組んでまいります。
まず営農再開するには担い手の確保が重要であります。担い手としては、地域の農業者による生産組織の設立や、農業法人による新規参入などがありますが、町としては、まず地域の農地は地域で守るという観点から地域の農地を「誰が」、「どの農地で」、「何を作付けしていくのか」を示した「地域計画」を地域の皆さんの話し合いの下、策定し、各地域の営農の方向性を示してまいります。
現在、下羽鳥地区や中野地区において除染後農地の一部で管理耕作によりブロッコリーを栽培しておりますが、水稲についても摂取制限や出荷制限の解除に向けて、下羽鳥地区に続き、三字地区内及び上羽鳥地区内において試験栽培を予定しております。
さらに営農再開に向けた取り組みとして、上羽鳥地区において基盤整備促進事業を施工するための測量設計を行うとともに、中田地区においては、中玉トマトの養液栽培施設を整備するため、施設用地を取得し、造成のための測量設計を行ってまいります。
また、これからの営農に対応するためには、土地改良事業が欠かすことができない条件であることから、地権者の理解を得ながら事業の推進に努めてまいります。
さらに、災害対策としてのため池の水管理や、営農再開に向けて用排水路等の補修工事を行うとともに、農作物や農業用施設に被害を及ぼしているイノシシ等の捕獲を強化し、町内で増加しているニホンザルの行動域モニタリング等を行い、被害を未然に防止するため、今後策定する管理事業実施計画により対策を講じてまいります。
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