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自治体の皆さまへ

記録として次の世代へ ふるさと絆通信 第118号ずっとふるさと。双葉町。(2)

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福島県双葉町

■橋本 葵(はしもとあおい)さん(下条)
居住先:埼玉県朝霞市

▽「何もわからない」ところから
大地震については鮮明に覚えているものの、震災当時小学1年だった私には、原発事故について具体的な記憶や理解はなく、何もわからないまま自宅や町を離れ、数年間、加須市で過ごしました。
知らない土地での日々は不安でしかなく、学校に行くことすら難しくなってしまうこともありました。今思えば、そうした状況でも家族が大きく離散しなかったことや、同市には多数の双葉町民が暮らしていたことなど、身近な人々や故郷の存在を感じられたことが、心の支えになっていました。

▽「自分を変える」一歩を踏み出す
小学5年への進級にあわせ、日立市に転居しました。年齢を重ねるうち原発事故や自分たちが置かれている状況について少しずつ理解できるようになりましたが、なかなか、それを踏まえて前向きにという気持ちにはなれませんでした。
一方、幼い頃から体を動かすことは好きで、特に走ることが得意なため、中学や高校では、部活動で陸上競技などに取り組み、先生や仲間たちとの信頼関係を深めることや、目標を持って一歩踏み出すという自信に繋がっていきました。また、中学3年のとき、双葉町チームの一員としてふくしま駅伝に参加しました。開催直前まで完走できるかどうか戸惑いはありましたが、第11区3.9キロを走り、皆さんの希望が込められたタスキを繋がせていただきました。

▽前向きな姿勢で学ぶこと
震災後、町が主催する子どもたちの交流事業「集まれ!ふたばっ子」や生徒海外派遣事業への参加、家族旅行などを通して、地域の姿や観光に携わる仕事などに興味を持つようなり、立教大学観光学部交流文化学科に進学しました。また、学業の傍ら、体育会陸上競技部に所属し、これまでの経験を生かしマネージャーとして選手のサポートにあたっています。
大学では幅広い視野で学べるメニューが用意されています。通常の授業では、学内の教員だけでなく、旅行や宿泊業など観光関連企業の経営者などから「環境変化を捉えた地域経営」という視点を養える機会や、海外留学や視察研修などもあります。新型コロナウイルスの流行で希望するプログラムに参加できないこともありましたが、逆に、制約条件下でも前向きに行動するよう心がけるよう気持ちを切り替えました。

▽故郷で迎える「二十歳の節目」
ダルマ市の賑わいの中で行われたはたちを祝う会は、懐かしい再会の場となりました。互いに小学1年だった同級生は、すっかり大人の姿になり名札を見なければ誰かわからない方もいましたが、改めて、故郷の存在や絆を感じる機会となりました。

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