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町の昔話コーナー

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福島県新地町

■八平のずんだ餅
昔々福田に布施八平(ふせはちべえ)というたいそう餅の好きな侍がおったと。
八平は、朝餅食って、昼餅食って、夜餅食って、小昼にも餅食うほどの餅好きだった。餅は腹持ちがいい上に、八平は大した仕事もしねぇでぶらぶらしていたもんだがら、さっぱり腹が減んねぇんだど。餅は食いたいし、腹は減んねぇしで困っていだった。そこで餅を食った後は、家の前さある坂道を上り下りして腹ごなしすることにしたんだど。八平は、毎日毎日、晴れても、雨が降っても坂道を上り下りしたど。餅と言ってもいろいろあっけんど、中でも八平が好きなのは、あんこ餅だったど。あんこ餅が食いたくて、自分の畑に小豆をいっぺぇ植えていたんだけんどもある年、小豆が不作で夏になったら小豆がなくなってしまった。あんこ餅は食いたいし、小豆はないし、八平は困ってしまったど。畑に行ってみたれば大豆に実が入り始めていだったど。その頃は、大豆はみそや豆腐や納豆にするので黄色くなってから収穫するのが普通だったから、青いうちに収穫するなんぞとんでもないことだったのや。小豆が実る秋まで待ちきれない八平。青い大豆とってきて、ゆでて潰してみたど。砂糖なんぞ手に入らない時代のこと、干し柿や飴で甘くして、それを餅につけて食ってみた。これがべろ抜けるほど、んめがった。八平は、上機嫌で朝も昼も夜も食ったど。そして食った後の腹ごなしに、せっせと坂道を上り下りして歩いたんだと。ところが梅雨の時期になるとこの坂道は泥んこになるんだ。こういうぐちゃぐちゃの坂のことを「ずんだら坂」って言うんだと。八平はずんだら坂を上り下りして、ずんだらのような餅食っていたもんだから、この餅を「ずんだら餅」と呼ぶようになり、いつしか「ずんだ餅」って言うようになったんだと。八平の家の前の坂は今でも「八平坂」って呼ばれているんだと。

新地語ってみっ会では、語り部による昔話や紙芝居など毎月第3土曜日13時30分から二羽渡神社南、おがわ観海堂(小野俊雄宅離れ)にて参加費無料で、公開しています。興味のある方はぜひご参加ください。

問い合わせ:新地語ってみっ会
【電話】62-2441

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