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【連載】昭和村の歴史と文化~第8回~

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福島県昭和村

昭和村文化財保護審議会委員長
菅家 博昭(大岐)

◆縄文展はじまる
只見川電源流域振興協議会が主催し、各教育委員会が共催している「奥会津の縄文」展が7月22日より始まりました。是非、7町村の資料館等を訪問してください。南会津町の奥会津博物館は、町内で発掘調査され復元された土器を大量に陳列しています。昭和村を含め、出土した小破片(土器片)を展示していますが、価値に変わりはありません。昭和村は、約8千年前からの縄文早期の時代の遺跡が多い。その実際に使われた土器片も見ていただきたいと思います。8千年も前の制作物が野天の土のなかで保存されていたわけです。
野尻の和久平遺跡は小さな規模の調査で得られたものを展示していますが、その際に石器を作成する石も出土しており、その石核(頁岩製)を展示しています。塩川町の芳賀英一さんの協力で、会津各地の沢から採取した頁岩原石も展示しています。黒色・チョコレート色の頁岩は、ノジュールといいます。同じものが小さいものですが、中向地区N沢からも採取されています。
これら展示物は後世に残し、常設する価値のもので、今後、からむし工芸博物館内に増設いただくよう要望をしていきます。また個人蔵の資料も寄贈・寄託されており、調整が必要ですが、収蔵庫の必要性も出てきています。
柳津縄文館は、石生前遺跡の再整理活動のなかで展示替えをしていて、見応えがあります。特に2階にその全体像を示すような収蔵展示という新しい方法を採用、展示技法を開発しており、博物館・資料館の運営にもたいへん参考になります。

◆昭和学講座・大芦を歩く
7月15日午前に開催しました。9名で大芦地区を歩きました。今回も福島大学の植物分類学の黒沢先生に同行してもらいました。私は、今回の縄文展の遺物整理のなかで再発見された大向遺跡の弥生時代の土器片(河原町口式土器)のことを大向の遺跡前で解説しました。昭和村ではじめて確認された弥生時代の遺跡です。同じような遺跡は只見町小林地区にあります。
黒沢先生はコシマキ墓地にあるカラムシ(苧、ほんからむし)を見て、「ナンバンカラムシ(南蛮…)ですね」と話されました。学名はどちらも同じBoehmerianivea。大芦のカラムシは、カラムシとナンバンカラムシ(茎に毛が多く、葉裏白い、いわゆる野カラムシ)があることを解説しました。
また大向の水田と農道の境界に血止草(オオチドメ)があることを解説されました。参加された松山の鈴木克彦さんも生まれた塙町等では、このようにして使用したと実演しました。チドメグサには大芦の佐蔵伝説があります。佐蔵を訪ねてきた上州の国定忠治が、ケガをしていたので、婆様が家の裏の土手にあるチドメグサを取ってきて処方したという話が残っています(赤田墓地に佐蔵の墓碑がある)。
道路脇には外来の帰化植物が多く確認されました。また日落沢の安斎惠治さんが同地より採取した石器を受領しました。日落沢では初めての確認です。縄文時代のものと思われました。なお現物は、からむし工芸博物館ロビーの展示ケースに陳列しました。

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