みんなのひろば～私のふるさと

24／31

山形県真室川町

真室川(まむろがわ)町は、山形県最上(もがみ)郡にある山間の町で、農業と林業が主な産業です。私の地元は奥羽本線沿いにあり、秋田県がすぐ隣です。豪雪地帯のため、子どもの頃は学校までの最短コースである田んぼや畑の上をスキーで登下校していました。民謡のおかげで地名こそ知られましたが、年々人口減少が進み、さながら「ポツンと一軒家」に出てくる麓の集落のイメージ。自然に恵まれたのどかな田園風景が広がります。
最上郡には、朝ドラ「おしん」で主人公が筏(いかだ)で下った「最上川」が流れており、松尾芭蕉も「五月雨を—」という句を詠みました。須賀川に来て、乙字ヶ滝で「五月雨の—」という芭蕉の句碑(くひ)を目にしたとき、ふるさとと須賀川の共通点を身近に感じてうれしくなりました。
「会津の三泣き」という言葉があります。私も須賀川に来た当初は不安でしたが、今では周りの温かさに感謝する毎日です。家族ぐるみの付き合いをしている友人もできました。初めは恐縮するくらい気遣いをしていただきましたが「今まではお客様、これからはお友達」と言ってくれたときは、とても感激しました。須賀川も三泣きのある街です。でも、私には三番目の涙はないと思っています。

南上町　柳沼昭子(しょうこ)さん