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ふるさとへの便り

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秋田県東成瀬村

■青い実(アケビの仲間ムベ)
10月に入ったというのに暑さは一向に治まろうとしない。2日の東京都心は気温が30℃を超え今年72回目の真夏日。年間の真夏日が統計開始以来の最多記録を更新、この先もまだ暑さは続くだろうと報じていた。
それでも10月の声を聞くと気分は秋にぐっと傾く。空気感も秋らしさを意識し始めるようになると、この暑さに、控え気味だった散歩にも元気が出てくる。ちょうど今頃の季節、秋風が感じられる絶好の散歩日和だったと思う。その日はいつもの散歩道を外れ少し遠回りをした。その途中に、やけに気になる「生け垣」があった。思わず歩を止めしばらくながめてしまった。生け垣に青い実が連なっている。やや歪(いびつ)な丸みを帯びた、リンゴほどの堅そうな青い実。よくよく見ると、木のような丈夫なつるがフェンスに巻きついている。青い実をつけていたのはそのつる性植物だった。

さて青い実だが、何の「実」なのかはわからない。こんなときに今は便利なツールがある。スマホの検索アプリを使う。スマホで写真を撮り、その写真を検索アプリに読み込ませる。そうすると瞬時に答えを出してくれる。この青い実は「アケビ」のようだ。名称(和名)を「ムベ」といい〝アケビ科ムベ属の常緑つる性木本植物〞と、ちょっと難しい解説が出てきた。別名「トキワアケビ」とも呼ばれ、冬になるとアケビの葉は落ちるが、ムベの葉は青々と茂ったままであると。また「実」は熟すと、アケビは口を開けたようになるが、ムベはほとんど開くことはなく、アケビとは別の植物だという。だが、ムベをアケビと呼ぶ地域もあるらしい。ならばアケビでいいと我を納得させる。ただ、アケビは生け垣にぶら下がり、庭先にあるものではなく、野や山にあるもの。丸みを帯びた実に首を傾(かし)げながら、何とも釈然としない。
庭先に何方(どなた)かいたらとのぞき込んだが見えない。呼び鈴を押したい気持ちを抑えるように「青い実」を後にした。それから幾日か過ぎた頃…・気になる青い実を見に行った。そうしたら、何と、青い実は、紫と赤紫に色を変えていた。どうやら、種類はひとつではなかったようだ。新たな発見をしたかのようなうれしさがあった。
今年も「アケビ」が気になる季節になった。そうと訪ねてみたら…この暑さに負けじとしっかり実を結んでいた。まだ青々としている実は、どう見ても「アケビ」とは思えないが、もう少し待ってあげたら、装いをしたアケビ(ムベ)の姿を見せてくれるはずである。

toko

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