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《特集》行政イノベーションワークショップ・シンポジウムを開催しました(2)

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◆シンポジウムの模様

■《基調講演》行政イノベーションのためのキャパシティビルディング
マルコ・ダリオ所長による基調講演は、行政の変革(イノベーション)の重要性と課題を掘り下げ、イノベーションが直面する困難と、その成功の鍵が示されました。
ダリオ氏は、まず、行政の革新性が行政に対する国民の信頼向上に重要な影響を及ぼす可能性を示唆。コロンビアの無償介護従事者問題への取組や、オーストリアの税務行政システムの革新事例などを挙げ、行政の革新的な取組がいかに社会課題に効果的に対応し、国民生活の改善に資するかを示しました。
また、世界各国のイノベーション事例データベースの分析をもとに、「イノベーションの落とし穴」に言及し、非有機的・散発的取組、ヒーロー精神に基づく孤軍奮闘、科学よりも芸術としてのイノベーション重視の傾向などに警鐘を鳴らしました。
その上で、「ミッション志向型」「先見型」「適応型」「改善志向型」という4つのイノベーション類型を挙げ、行政における「イノベーションポートフォリオ」の重要性について言及しました。
ダリオ氏は、最後に、OPSIが開発したイノベーション能力診断フレームワークを紹介。イノベーションの(1)動機付け、(2)許容性、(3)実現能力、(4)成果の認知の4要素を、個人・組織・システムの各階層において総合的に高めることで、体系的かつ持続可能な形でイノベーションを推進できると主張しました。
本講演は、政策立案者や公共セクターのリーダーにとって、イノベーションを推進し、国民の信頼を築くための重要な示唆と実践的な指針を提供するものとなりました。

■《パネルディスカッション》VUCA時代に求められる人材・組織
基調講演に続いて行われたパネルディスカッションでは、深谷健氏(津田塾大学教授)によるモデレーションの下、マルコ・ダリオ氏、城山英明氏(東京大学教授)および伊藤かつら氏(人事院人事官)により、VUCA(変動性、不確実性、複雑性および曖昧性)といわれる時代の公共セクターにおける人材・組織に焦点を当てた活発な議論が行われました。

(1)VUCA時代の人材
まず、VUCA時代の公共セクターにおける人材に求められる資質やスキルについて考察されました。ダリオ氏は適応力や柔軟性を、城山教授は多様な未来を想像する能力を、伊藤人事官は個人の学習能力と社会関係資本の重要性をそれぞれ強調しました。

(2)組織文化・環境
次に、行政イノベーションと組織文化に着目しました。伊藤人事官はデジタル変革の進行とその影響について話し、城山教授はジェネラリストとスペシャリストのバランスの重要性を指摘しました。ダリオ氏は組織文化の変革におけるリーダーの役割を強調しました。

(3) 他セクターとの協働
さらに、公共セクターと他セクターとの協働の重要性が議論されました。城山教授は多様なアクターを繋ぐ能力の重要性、伊藤人事官は多様性と共感力を、ダリオ氏は政府のエコシステム内での役割をそれぞれ強調しました。その上で、パートナーシップの長期的な構築について討論が行われ、城山教授は適度な距離の保持、伊藤人事官はデジタルツールを利用した関係構築、ダリオ氏は継続的なネットワーク構築の重要性に言及しました。

質疑応答セッションでは、マインドセット、組織文化、イノベーションの落とし穴への対応に関する貴重な意見が交わされました。ダリオ氏はリスクを取ることを容認する文化の重要性、伊藤人事官はダイバーシティと学習文化の強化、城山教授は前提を疑う態度と外部機関との連携の必要性を強調しました。

本ディスカッションは、公共セクターのリーダーや実務家にとって、VUCA時代における適切な戦略とアプローチを模索するための貴重な機会を提供しました。今後も、このような対話を通じて、公共セクターが変化に対応し、変革を推進するための方法を探求していくことが期待されます。

シンポジウムの当日の模様は、総務省動画チャンネルにも掲載しています。
【URL】https://youtu.be/2fTVoc5KuEE

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