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群馬のいにしへを求めて~群馬県埋蔵文化財調査事業団 設立45周年~ 1

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群馬県

群馬県は遺跡の宝庫として知られています。旧石器時代研究の出発点となった岩宿遺跡や古墳時代の豪族居館跡の三ツ寺1.遺跡、6世紀の榛名山の大噴火によって被災した金井遺跡群など、著名な遺跡が数多くあります。また全国屈指の質と量を誇る古墳をはじめ、原始古代から近現代に至る膨大な埋蔵文化財が群馬の歴史の厚みを物語っています。
公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団は、昭和53年7月、新幹線や高速道路、ダム、その他の国および県の開発事業に伴う埋蔵文化財の調査研究を目的に設立されました。そして平成8年からは、発掘情報館を核とした文化財保護思想の普及と県民文化の振興に寄与してきました。今年45周年を迎える県埋蔵文化財調査事業団の歩みと最新情報を紹介します。

■調査研究員のイチ推し!
常時展示している貴重な出土品の中から「イチ推し」を紹介します。
※事業団ホームページでも特集しています

▼刃部磨製石斧
・後期旧石器時代
・上泉唐ノ堀遺跡(前橋市上泉町)

○上席調査研究員・資料統括 関口 博幸さん
上武道路建設に伴う発掘作業で、平成18年に上泉唐ノ堀遺跡から出土した黒色頁岩製の刃部磨製石斧です。年代は約3万5千年前(後期旧石器時代の初めごろ)、県内で最古級の石器の1つです。
特徴は、磨いて鋭い刃部を作っている点です。横から見た刃部の角度は表裏両面とも約30度の鋭さで、まさに「斧」の形です。
刃部磨製石斧には、破損しても再び刃部を磨き直した例がよく見られます。壊れてもすぐには捨てずに作り直して使った、いわば旧石器時代の「リユース品」と言えます。
※黒色頁岩…黒色の泥の固まった岩石で、薄く板のように割れるもの

▼隆起線文土器
・縄文時代草創期
・徳丸仲田遺跡(前橋市徳丸町)

○主任調査研究員・資料統括 田村 博さん
北関東自動車道建設に伴う発掘調査で、平成10年に発見された県内最古級の隆起線文土器で、細い隆起線をめぐらした縄文時代草創期の古い段階の土器です。編籠や皮袋に似せて作られたことが想定され、隆起線文は籠に巡らされた箍のようにも見えます。
初めて見た時「すごい!群馬県で隆起線文土器が出土するとは!」と感激したことを覚えています。隆起線文土器の発見は、県内でも縄文時代草創期の発掘調査が増え始めた頃で、1万6,500年前の出現期土器(無文土器)の出土で話題となった青森県の大平山元1.遺跡の発掘調査も平成10年のことでした。自分自身もいつかはこのような土器を発掘したいと思っています。

▼有栓弭形鹿角製品
・弥生時代後期
・新保田中村前遺跡(高崎市新保田中町)

○専門員(主任)板垣 泰之さん
平成4年から5年にかけ染谷川の河川改修に伴い発掘調査された、新保田中村前遺跡の、弥生時代の河川の跡から出土しました。この製品は、「ペンキャップ」状の形が弦をかけるために弓の端に取り付ける「弭」に似ていることから、このような名称が付けられました。大きさは長さ6.3センチ、幅は2.1センチ程で、丁寧に加工された表面には文様が刻まれ、5カ所開けられた穴には細かな細工をした栓が取り付けられています。
弭形鹿角製品とは呼んでいますが、横に張り出した栓は弦をかけるには強度が十分とは考えにくく、数も多すぎます。つまりこの製品は、実際にどのように使われたか謎なのです。

■出土した土器類の3Dデータ化に取り組んでいます
県埋蔵文化財調査事業団では、県の委託を受けて、県埋蔵文化財調査センターで保管している土器類の3Dデータ化を行っており、これまでに縄文土器30点を立体的に観察できるようにしました。
パソコンやスマートフォン、タブレットで、普段見られない土器の裏側や内面、底部などを自由に観察できます。来年度までに100点の土器類を3Dデータ化する予定です。ぜひご覧ください!

詳しくはこちらから→「スケッチファブ 群馬県埋蔵文化財調査センター」を検索

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