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アートがめぶく。まち(1)

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群馬県前橋市

■前橋文学館長 萩原朔美×アーツ前橋特別館長 南條史生
中心市街地に位置する前橋文学館は9月3日に開館30周年、アーツ前橋は10月26日(木)に開館10周年を迎えます。
本市は「水と緑と詩のまち」とうたわれるとおり、萩原朔太郎をはじめ、高橋元吉や萩原恭次郎のほか多くの詩人を輩出。「近代詩のふるさと」といわれています。前橋文学館は、これらの詩人をはじめとした文学者たちの資料を展示し、常設展のほか年間を通して企画展も多く開催しています。
また、アーツ前橋は、商業施設を改装した美術館として開館して以来、市民とアーティストによる文化芸術活動の拠点として、多くの展覧会と地域アートプロジェクトを実施。5月には特別館長と館長を新しく迎え、今回10周年を記念した企画展を開催します。
節目の年を迎えた前橋文学館長とアーツ前橋特別館長にワカモノ記者がインタビュー。二人のアートに対する思いを聞きました。

Q:中心街の変化をどのように感じますか
萩原:私が就任した頃と比べて相当変わってきていると感じています。それは点の変化で、その点同士が線で結びついて、互いに刺激し合っているような状況。白井屋ホテルや馬場川、広瀬川は昔の物語を壊さずに生かしながら、形状を残して変化させているように感じています。
Q:中心街の印象はどうでしたか
南條:アーケード街を最初に見た時、傾斜と幅の広さに特徴があると思いました。前橋特有の空気感があって、歩いた感覚が独特なものがあるなという印象です。
Q:互いの施設について
萩原:両館とも建物自体が求愛して、いつでも人を迎えるような、デザイン的に一目で分かる入口にしたいですね。今後、アーツ前橋という表情を見せるデザイン形状に変えるべきだし、前橋文学館も内容に即したデザインに変えるべきだと思います。
南條:将来的には、使い勝手のいい、開かれた美術館を作るべきだと思っています。これは皆さんにも賛同してほしいです。文学館とは今後、中身がつながった企画が作れたら面白いなと思います。言葉を使う詩というのは、文化にとって一番重要。そう考えると文学館と美術館は内容的につながっていますよね。
Q:前橋文学館は開館30周年、アーツ前橋は10周年。節目の年を迎えての思いは
萩原:30年の歴史を振り返っても、新たな夢を見ることはできません。30周年は今後の30年を考えることだと思います。今後目指すのはメタバース文学館。世界中からアクセスできる文学館を、前橋が最初に実現したいです。廃校になった学校を利用して一棟を文学館にするのもいいですね。
南條:私は、前を見よう、未来へ向かおうという思いを込めて10周年記念展に新しい地平線という意味の「ニューホライズン」というタイトルを付けました。過去は大事ですが、次々に山積みの問題が向かってきます。それに立ち向かうことがとても大事だと思います。
Q:美術や文学にハードルを感じている人へメッセージ
萩原:知らないことは知らないままで一生が終わってしまいます。「詩なんてわからない」という人にとって、たった一行のフレーズの詩がぴったり自分に合って、人生を変えるかもしれない。だから、知るきっかけを作るために、文学館の外の壁に詩を書いたり、レンガに詩を刻んだりしています。そのように、門戸を広げて美しい言葉と出合うチャンスを与えるのが文学館の仕事ではないかと思います。
南條:誰にとってもアートが興味深いわけではありません。しかし、今まで興味がなかったけれど、興味を持ってくれる人が出てくるかもしれません。その人のために何ができるかだと思います。なぜ美術館に入ってくるか考えてみると、美術館が何か正しいことや教育的なことをやっているからではありません。美術館は好奇心をそそられたり、わくわくしたり、ちょっと覗いてみようかと思わせるような活動をしなくてはなりません。そして、建物も開かれていて入りやすい構造である必要があるし、刺激的で面白い体験ができたと思わせることで、それが繰り返されると来る人が増えてくるのではないでしょうか。それが結果的にはハードルが下がったということになるかもしれないです。
文:ワカモノ記者・勅使河原花菜
※インタビューの様子は本市公式YouTubeで公開しています。

◇ワカモノ記者編集後記
今回のインタビューを通じて、中心街の今後のあり方や方向性が理解できた気がします。中心街がたくさんの人に愛される街になっていけるように、私もワカモノ記者としての役目を果たしたいと思います。(勅使河原)

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