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アートがめぶく。まち(4)

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群馬県前橋市

■Interview
ーまちなかに美術館や文学館があることー

まちの開発舎・前橋まちなかエージェンシー代表 橋本薫さん×前橋中心商店街協同組合副理事長 大橋慶人さん
中央通り商店街に店を構え、開館前からアーツ前橋に関わってきた前橋中心商店街協同組合副理事長の大橋さん。アーツ前橋が招聘(しょうへい)したアーティストにとって、父のような存在であることも。そんな付き合い方ができるのも前橋だからこそという。
「まちなかの変化の起点はアーツ前橋です」と力を込める橋本さんは、前橋ビジョン「めぶく。」の下、この地域のプレイヤーとして、そして内と外をつなぐ橋渡し役として奔走しています。
2人に美術館や文学館がある意味を語ってもらいました。
大橋:アーツ前橋は開館当初から中心商店街と密接に関わっています。5周年の時には、まちなかを会場にしてほしいとお願いし、商店や路上などで企画展が実施されました。10周年記念展「ニューホライズン」もまちなかと一緒にというスタンスで楽しみです。ハワイ出身の作家の巨大な岩をアーケードに吊るす展示はインパクトがありますね。商店街の皆が楽しみにしています。
橋本:アーツ前橋の開館は、僕がまちなかに関わるきっかけの一つでもありました。大橋さんをはじめ、さまざまな人が取り組んできたまちなかのまちづくりでは、異なるコミュニティが緩くつながっているという特徴があります。アートをしている人と商店街で商売をしている人という、全く異なる分野の人が近所に住む友達のようにつながっています。このコミュニティは、アーツ前橋開館後の10年間で築き上げてきたものだと思います。
「ニューホライズン」では、アーツ前橋が10年間で取り組んできたことを体現するような企画になるのではと期待しています。一部のエリアや使いやすい場所だけでなく、フラットな目でまちなか全体を見渡して場所を選定してもらっています。
大橋:アーティストと友達になって話をすると、いろいろな気付きがあります。コロナ前は頻繁にアーティスト・イン・レジデンスが実施されていました。国内外の作家が数カ月間滞在し、地域の人と触れ合って作品制作に生かすという事業です。仲の良い学芸員が家の前に住んでいて、海外からアーティストが来ると、我が家でのパーティーが恒例になっていました。私だけではなく家族皆が片言の英語でやり取りします。何気ない会話が非常に面白く感じました。東京だったらこのような関係性は築けないのではないでしょうか。前橋の近い関係性だからこそだと感じています。
橋本:僕らはこの地域のプレイヤーとして、普段アートや文学に目を向けない人たちに対する場所づくりに取り組んできました。その一つが前橋めぶくフェスです。通常のイベントやフェスは、おいしい食べ物や丁寧に作られたものが並びますが、めぶくフェスはそこにアートを取り入れました。前橋ビジョン「めぶく。」ができてから、美術館や文学館が近くに存在しているという価値を多くの人に感じてほしいと考えるようになりました。
大橋:すごい勢いでまちなかは変わっています。中央通り商店街だけでも、紹介する空き店舗がないくらい新しい店が次から次へとできています。馬場川通りの改修も来年2月に完成します。
アーツ前橋を起点にまちなかを回遊することで、まちなかの新しい動きを感じられると思います。商店街は、新しい店と老舗が一体となった面白さがあります。人情に厚い商店街なので、ふらっといろいろな店に入ったり、食事を楽しんだり、まちなかで多くの時間を過ごしてほしいです。
橋本:前橋は今、チャレンジに溢れていると思います。小さな商店のチャレンジもあるし、馬場川通りや広瀬川の遊歩道などの公共空間の改修もそうです。民間も市も新しい挑戦をしています。そのチャレンジに触れてほしいと思います。前橋に来ることで、何か自分もできるんじゃないか、そういう気概を感じ取ってほしいです。まだまだ発展途上ですが、今が最も面白い時だと思います。多くの人がチャレンジに燃えているこの瞬間をぜひ見に来てほしいし、そこにアートや文学の要素も相まっているのが、今のまちなかの特徴だと思います。具体的には、アーティストやビジネスを始めようというスタートアップ、イノベーションを起こそうとする人たちがいます。それから、学生がいます。就職か起業か、若い人なりに悩んでいます。今の前橋が素晴らしいのは、挑戦しようとする人たちを応援する気分があること。この地域から芽吹かせていこうという意識が高まっていると思いますね。今の前橋が盛り上がってきている起点がアーツ前橋であったことは間違いないし、関係人口が増えるきっかけも含めて、全てがアーツ前橋から始まっていると言っても過言ではないと思います。

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