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歴史にふれる

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茨城県かすみがうら市

■先祖の精霊を迎える夏祭りの歴史
今回は、内加茂集落のお祭りの「ウラボン」について、地元にお住まいの市民学芸員・松葉薫(まつばかおる)さんが語ってくれました。

内加茂集落には、かつて8月24日に行われる愛宕(あたご)神社の「ウラボン」と呼ばれる夏祭りがありました。「ウラボン」とは、俗にいう「お盆」の正式名称で、ご先祖様を供養するため、昼には相撲大会、夜には万灯(まんどう)引きが行われました。
歴史は古く、寛政(かんせい)7年(1795)の古文書にはすでに記載があります。かつては「立木山愛宕万灯角力(たちきさんあたごまんどうすもう)」と呼ばれていたそうで、費用は内加茂集落の平坪、榎坪、新田坪が負担していました。
愛宕神社は、南圓寺北側の「立木観音(たちきかんのん)」があるお堂(かつては「立木山千寿院密蔵寺(たちきさんせんじゅいんみつぞうじ)」)の西側に立木車塚古墳(たちきくるまづかこふん)(直径40mの円墳)があり、その上に祠が安置され、周りには相撲の土俵が置かれていました。
明治時代に入ると、祠と土俵は香取神社に移されましたが、祭りは続き、近郷から力自慢の自称力士が大勢集まり盛大に相撲大会が開催されました。
夜には、万灯引き祭りも行われました。「万灯」とは、柱に行灯(あんどん)と丸い籠を取り付けたもので、籠から周囲に割竹を伸ばし、紙でできた花で飾られています。万灯は臼に固定され、提灯(ちょうちん)が提げられた荷車などに載って集落内を巡行し、お囃子も一緒につくなど大変にぎやかでした。万灯の荷車の引き手は、集落の子どもたちが担当しました。私も子どもの頃には、立ち寄る家々でお菓子やスイカをごちそうになるのが楽しみで、一生懸命に荷車の綱を引いたものです。昭和40年代の後半には、若者や子どもたちの減少によって、「ウラボン」は開催されなくなりました。もう半世紀以上前の記憶ですが、今でも夏が近づくと、懐かしく思い出します。

問合せ:歴史博物館
【電話】029-896-0017

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