「健康管理のために健診を受けよう」、「地球のためにごみを分別しよう」。頭ではわかっていても、つい後回しにしていること、ありませんか?そんな「本当はやったほうがよい」行動へとそっと後押しする仕掛け「ナッジ」が、近年注目されています。街中や職場、家の中など、私たちの身の回りにも、隠れたナッジの仕掛けがたくさん。仕組みを知ればきっと試してみたくなる、ナッジの世界へようこそ!
登場人物
おみ子…ハンドメイド作家。夫と二人暮らし。仕事以外では面倒くさがりな性格。
ナジたん…ナッジの精。暮らしの中にある「ナッジ」を見つけると現れる。
たま夫…おみ子の夫。市内企業に勤める。おみ子の健康を気にかけている。
漫画…清水すず菜
グラフィックデザイナー兼イラストレーター。家族は夫と子ども2人と黒猫1匹。夫の転勤を機に2020年3月から小美玉市民に。
◆第1話 ナジたん登場 ナッジってなに?
「解説するナジ!」
○ナッジ=望ましい行動へと後押し
ナッジは、「肘(ひじ)でつつく」という意味の英語で、「人が自発的に望ましい行動を取れるように後押しする仕掛け」のこと。階段の利用を促すため消費カロリーを示した階段や、コンビニのレジ前の足跡など、さまざまな場面で活用されています。行動経済学の研究でノーベル経済学賞を受賞したセイラー教授らが2008年に発表し、世界中に広まりました。
ナッジの特徴は、「人間は合理的な判断をしないことがある」という前提に立っていること。例えば、減量したいと思っているのに食べ過ぎてしまったり、好みでない洋服をセールだからと買ってしまったり。誰しも思い当たることがあるのではないでしょうか。ナッジは、人間にあるそういった思考の癖⦅バイアス⦆を理解しうまく利用して、本人や社会にとってより望ましい行動が取れるように導きます。国連はSDGs達成のためにナッジ活用を勧めており、国内でも健康や環境分野での活用が盛んです。
○通知の工夫で受診率向上
ナッジは行政サービスにも活用されています。市の特定健診⦅40~74歳の国保加入者が対象⦆は、令和元年度から通知にナッジを採用し、健診受診を促しています。受診忘れを防ぎ、健康を意識するきっかけにしてもらうため、今年度は最大3回⦅6月、8月、10月⦆、メッセージの内容を変えて通知はがきを発送しました。
特定健診未経験者⦅※⦆の受診率は、ナッジ導入前の平成30年は7.1%だったのに対し、導入後の令和元年度には11.7%となり、4.6%向上しました。
◆こんなにある!街中のナッジ
○レジ前の足跡
スーパーなどのレジ前の床には足跡マークが貼られています。係員が誘導しなくても、わかりやすい目印により人々が自発的に整列できるよう促す仕掛けです。
○「ありがとう」貼り紙
商業施設のトイレでよく見かける「きれいに使ってくれてありがとう」の貼り紙。人から好意をもらうと好意を返したくなるという心情に訴えかけています。
○ボトルラベルの裏におみくじ
「ラベルをはがすと見られるおみくじ」付きのペットボトル飲料があります。ラベルをはがすことが楽しくなる仕掛けで、資源の分別を自然に促しています。
◇強制しないのがナッジの良いところ
良いことだと分かっていても、強制されたらやりたくなくなるのが人情ナジ。強制や禁止ではなくて、自分の意思でより望ましい選択をしやすくするのがナッジの良いところナジね!
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