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[特集]現代に残る弥生時代

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茨城県常陸大宮市

■人面付壺形土器「いずみ」、初の海外展示 ギリシャへ
常陸大宮市泉に位置する「泉坂下遺跡」には、弥生時代の歴史が今もなお残されています。そこで出土した人面付壺形土器「いずみ」は国の重要文化財として指定されており、この度、初めて海外で展示されることとなりました。
今月号では、海外展の様子や「いずみ」の資料的価値についてお伝えします。

◆弥生時代の美術の代表として「いずみ」が展示
ギリシャ・イラクリオン考古学博物館 特別展「日本の美の原点」
6月2日から9月24日、ギリシャ共和国イラクリオン考古学博物館で行われている特別展「日本の美の原点」で、市内で出土した人面付壺形土器「いずみ」が展示されています。
この展覧会は、オリンピック発祥の地ギリシャを会場に、東京国立博物館が縄文時代から古墳時代までの文化を彩る出土品などを紹介し、広くヨーロッパの人々に日本の原始美術の魅力を伝えるものです。
当初は令和2年(2020)の東京オリンピック・パラリンピックに合わせて開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により延期となっていました。
この展覧会には東京国立博物館の所蔵品など約60点が出品され、縄文時代に作られた遮光器土偶(しゃこうきどぐう)(重要文化財)や弥生時代の袈裟襷文銅鐸(けさだすきもんどうたく)(重要文化財)とともに、「いずみ」は日本の弥生の美を代表する優品として旅立ちました。
「いずみ」が展示されたイラクリオン考古学博物館は、ギリシャ共和国南東部に位置するクレタ島にあります。
ヨーロッパの人々に人気の高い観光地であるクレタ島は、古代ギリシャ・ミノア文明が栄えた場所として知られ、クノッソス宮殿など数多くの遺跡があります。そのミノア文明の出土品が展示・収蔵されていることで世界的に有名なのが、イラクリオン考古学博物館です。
「いずみ」を見たギリシャの方々からは、顔の表現や用途などについて質問が寄せられ、多くの方々の注目を集めました。

ギリシャでの展示中も歴史民俗資料館で「いずみ」レプリカをご覧いただけます

問い合わせ:常陸大宮市歴史民俗資料館
場所:中富町1087-14【電話️】52-1450
休館日:月曜日、祝日、各月末日

◆ナンバーワンにしてオンリーワン 現代に残る弥生時代の至宝「いずみ」
・鼻筋が通っている、鼻の穴が開いている
・口はひし形
・左右の目が違う
・目や口の周りに線の表現
・性別不明、年齢不詳
・もとは赤く塗られていたので、ところどころに塗料が残っている

◆人面付壺形土器「いずみ」のここがすごい!
世界から注目を浴びている泉坂下遺跡出土人面付壺形土器「いずみ」。その注目すべき点は以下のとおりです。

◇世界にひとつだけ
比類ない精緻で写実的な表現で、日本の弥生時代の様子を伝える超一級の資料。また、その芸術性から、美術品としての評価も高いです。

◇大きさ日本一
器高77.7cmで、知られている人面付壺形土器の中で最大の大きさです。

・耳たぶにピアスの穴
・顎が作られた立体的な表現
・優美なフォルム

◆現代に残る弥生時代の聖地 再葬墓(さいそうぼ)って、なんだろう?
泉坂下遺跡は弥生時代中期(約2300~2200年前)の再葬墓遺跡で、平成29年に常陸大宮市初となる国史跡に指定されました。
再葬墓とは、遺体を一旦土に埋めるなどして一度葬(ほうむ)ったあと、骨になった遺体を壺などに納めて改めて埋葬したお墓のことです。特に弥生時代の中ごろの東日本に見られ、骨を入れる容器として壺形土器を使うのが特徴です。ひとつの墓穴に複数の骨壺を納めているので、個人のお墓ではなく集団のお墓だといえます。
また、人面付土器が一緒に出土するのも特徴のひとつで、泉坂下遺跡では「いずみ」が出土しています。
市では、これらを守り伝えるため、様々な取り組みを進めています。その一環として、平成29年に小中学生向けガイドブック「いずみのツボ」、令和5年に泉坂下遺跡リーフレットを作成しました。市ホームページでもデジタル版を公開していますので、もっと詳しく知りたい方はぜひ二次元コード(本紙P5参照)からご覧ください。

・泉坂下遺跡からわかる弥生時代の暮らしや、「いずみ」をはじめとする出土品を守り伝える取り組みの一つとして作成した小中学生向けのガイドブック「いずみのツボ」。イラストと親しみのある文章でわかりやすく解説されています。

・再葬墓の手順。遺体を埋めた場所の目印や土に埋めた遺体を掘り出すタイミングなど、いまだわかっていないことも。
※詳細は本紙P5参照

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