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自治体の皆さまへ

SDGsで共に創る持続可能な行方 第34回

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茨城県行方市

■気候変動との闘いとSDGs
行方市SDGs推進アドバイザー・茨城大学教授 野田真里

1.台風・自然災害に見舞われた2023年夏
2023年の8月は、大きな自然災害に見舞われました。日本では季節外れの台風6号と7号が発生、大きな被害をもたらしました。特に台風7号はお盆の時期と重なり、近畿・東海・中国地方を中心に大きな影響を及ぼしました。鳥取県では線状降水帯の発生により、かつてないほどの降雨による大雨特別警報が出され、災害救助法を適用、避難情報も最高レベルの緊急安全確保となりました。
アメリカではハワイ・マウイ島で山火事が発生、一週間以上も続き、観光地ラハイナが壊滅的な被害を受け、100人以上が亡くなりました。同国ではこの100年間で最悪の山火事といわれています。被害に遭われた方々に、謹んでお見舞いを申し上げます。

2.気候変動と闘うー気候変動枠組条約と締約国会議
こうした異常ともいえる自然災害は、地球規模の気候変動と無縁ではないとは言い切れないでしょう。SDGsの目標13では「気候変動およびその影響と闘う(combat)ための緊急措置を講じる」とあります。そして「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が気候変動へのグローバルな対応」に関する「第一義の場」と定められています。
UNFCCCは1992年に、国連環境開発会議(UNCED)を経て採択され、198の国・機関が締約国となっています。同条約では「地球の気候の変動及びその悪影響が人類の共通の関心事であることを確認」し、「人間活動が大気中の温室効果ガスの濃度を著しく増加させ…自然の温室効果を増大させていること」により「自然の生態系及び人類に悪影響を及ぼすおそれがあることを憂慮」する、とあります。
大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン等)の濃度の安定化を目的として「共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力」という原則の下に取り組みが行われています。1995年から気候変動枠組条約締約国会議(COP)が毎年開催されています。

3.京都議定書とパリ協定
こうしたUNFCCCの取り組みで、特筆すべきは1997年のCOP3で採択された京都議定書と、2015年のCOP21で採択されたパリ協定です(表)。まず京都議定書は、2020年までの目標で、温室効果ガスの「排出の抑制及び削減に関する数量化された約束の達成に当たり、持続可能な開発を促進する」こと等を目的とした取り組みです。附属書1.国(日本など先進国や移行経済国)のみが抑制・削減の義務を負います。アメリカは条約の締結は行わず、日本は第2約束期間に参加していません。
これに続くパリ協定は、2020年からの目標で「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保つとともに、1.5度に抑える努力を追求すること」等が目的です。歴史上初めて、全ての締約国が対象となる公平な合意です。「自国が決定する貢献」(NCD)に基づいて取り組みを行い、5年ごとに見直すこととなっています。

出典:京都議定書(1997)、パリ協定(2015)等をもとに作成

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