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〔特集〕農業の未来を拓く(1)

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茨城県鹿嶋市

~食で笑顔と幸せを~
鹿嶋で生まれ育ち
鹿嶋の自然に触れあい
家族との関わりの中で農業の楽しさを知り
私たち、農業始めました。

新拓農園
髙野 優也さん(24)
幸奈さん(24)
(鹿嶋市山之上)

私たちの食生活を支える日本の農業は近年、農業就業人口の減少や後継者・担い手不足という大きな課題に直面しています。次代を担う若手の新規就農者が増えることが課題を解決する大きなカギの1つといえます。
今回の特集は、鹿嶋市の農業の未来を切り拓く新規就農者として、今年1月から市内で農業を始め、有機農法に挑戦している新拓農園の髙野さんご夫婦に農業への熱い思いや目標などを伺いました。

■農業を始めたきっかけは?
きっかけとして一番大きかったことは高校卒業後に企業へ就職して、3年目の2019年にコロナ禍となり、仕事が土日休みとなった時間を利用して何かできないか探していた時に、家庭菜園をしていた祖父の手伝いをするようになったことです。
その中で野菜の育ち方を知るうちに農業に興味が湧き、農業をやりたいと思うようになりました。実家はもともと農家ではなかったのですが、田畑を所有していて子どもの頃から祖父母が野菜を育てる姿を見ていたこともきっかけの1つです。
最初は会社勤めをしながら兼業農家になることも検討しましたが、農業について勉強していくうちに農業一本でやりたいという思いが強くなり、家族や仲間の後押しもあり専業農家になることを決断しました。

■新拓農園の由来は?
新拓農園の「新拓」は、髙野家の屋号につく「新宅」と、自分たちで農業を新しく開拓していくという2つをかけて名付けました。

■就農までの道のりは?
農業をやると決めてからすぐに、有機農法に関する専門学校に入学し、1年半ほどオンライン授業でさまざまな知識を習得しました。2021年の冬には会社を退職し、2022年は1年間(1200時間)の研修を潮来市の農家のもとで受けました。そして新規就労者を支援するための国の補助金を活用しながら、今年1月に新規就農となりました。

■どんな野菜を育てている?
新拓農園の主力の野菜は、かぼちゃ、にんじん、かぶです。そのうちのにんじんを、無化学肥料・無農薬の有機農法で育てています。
初めはすべての野菜を有機農法で育てたいと思っていましたが、収益を上げることも考え、1年目は全体の3割を有機農法で育てることにしました。有機農法以外の野菜も、農薬は基準値の3分の1以下にして安全安心な野菜作りをしています。

■新拓農園の有機農法とは?
うちの畑では、菜種油かすを使用した有機100%肥料とえん麦による緑肥を使用して野菜を育てています。緑肥とは、栽培した緑色植物を収穫せず土にすき込み肥料とするもので、害虫を防ぐ効果もあります。
また、土の上に透明のシートを張り、太陽熱を土に長時間当てて雑草の種を焼き殺し土壌消毒することで、防虫・防草対策を行っています。
有機農法の土壌づくりは、とても時間がかかり、その期間はそこの場所では野菜を作ることができません。化学肥料を使えば短い期間で野菜を育てることはできますが、時間をかけてじっくり作った土と有機100%の肥料で育てることで甘みのあるおいしい野菜を作ることができます。
今年は干ばつと猛暑の影響を受け、有機農法で育てているにんじんは育ちにくい状況でしたが、これからもいろいろと挑戦しながらおいしい野菜を育てるための土や肥料づくりを行っていきます。

■髙野さんの野菜はどこで買うことができる?
普段は道の駅いたこでほぼ毎日採れたての野菜を販売しています。その他には鹿嶋市と神栖市のカスミや生協の宅配、インターネット販売(産直アウル)も行っています。今はインターネット販売していたかぼちゃが完売のため、今後は11月頃からかぶやほうれん草などの野菜の詰め合わせを販売する予定です。不定期では、昨年からイベントやマルシェに出店する機会をいただいています。
また、市内の飲食店の皆さんにもたくさんお声かけいただき、定期的に提供できることがありがたいです。
10月21日(土)には、鹿嶋まつりにも出店予定となっています。かぶやにんじん、小松菜など採れたて新鮮な野菜を販売しますので、ぜひお立ち寄りください。

■農業と向き合う中で感じることは?
自分たちが手間ひまかけて育てた野菜が成長していく姿や、お客様が新拓農園の野菜を選んでおいしいと言ってくれることに喜びを感じます。夫婦の会話の中心にはいつも農業があり、語り出したら止まらないほどです。旅行に行ってもその土地の農業に興味を持って見てしまいます。それほど農業という仕事が楽しくてはまっています。
反対に難しいと感じるのは、天候や病害虫、イノシシなどの動物被害により野菜の出来具合が左右されることです。
特にこの地域はイノシシがよく出没して、土に張っているシートを破ったり、収穫前のかぼちゃやさつまいもを食い荒らしてしまう被害が出ています。自然と向き合い、リスクを考えながら日々対策していますが思い通りにならないことも多いですし、収益にも影響があります。

■今後の目標は?
無農薬の野菜を増やし、旬なものを旬な時期に皆さんに提供し、「新拓農園の野菜はおいしい!」と言ってもらえるようになりたいです。
さらに、鹿嶋市の特産品としてかぼちゃが認知されるように、有機農法でのかぼちゃの栽培に力を入れて、「鹿嶋といえばかぼちゃ、かぼちゃといえば新拓農園」と言われるようなものを作っていきたいです。
経営に関しても今は複数の野菜を育てていますが、3年以内には品目を絞って安定した収益が得られるような農業経営を行っていきたいです。

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