■現存する国内最大規模の藩船格納施設「対馬藩お船江(ふなえ)跡」
対馬藩お船江跡(厳原町久田)は、厳原港南側の久田浦(くたうら)の河口付近に所在する対馬藩船の格納施設です。従来、築造は1663年とされていましたが、近年の調査の結果、文禄・慶長期(1600年頃)まで遡る可能性が出てきました。構造としては、石を積み上げて作られた4つの突堤(とってい)が、5つの船渠(せんきょ)(※)を区切るように並んでいます。満潮時には木造の大船が出入りできる程の広さと深さがあり、干潮時には水底が干上がるような立地となっており、船底に貝が付きにくい場所が選定されています。
厳原に帰り着いた藩船は、次の航海までの間、お船江に格納され、修理や整備を受けていたと考えられています。江戸時代、海や河川に面した藩は、いずれも藩船を格納する施設を持っていましたが、現在、突堤の石垣がこれほどまでに良い状態で原形を留めているところは、国内で他に類を見ないため、非常に貴重な遺構であるといえます。
※船渠…船の建造や修繕などを行うための建造物
次回は、縄文時代後期の志多留の祈りの場?「志多留貝塚」を紹介します。
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