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自治体の皆さまへ

【特集】これからも私たちの大切なパートナーとして(2)

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長崎県対馬市

【時代とともに変化する対州馬と人々の関わり】
■生活を支える役割の終わり
対馬に生きる人たちにとって、生活に欠くことのできないパートナーだった対州馬ですが、60年ほど前、自動車社会の到来や作業機械の導入に合わせるように、対馬で対州馬は数を減らしていきました。対馬の家々で飼われていた対州馬は減少していき、荷役や観光用として島の外へ出される対州馬も少なくありませんでした。明治時代には4000頭以上が生息していましたが平成12年に入る頃には30頭以下になり、在来馬の中で最も絶滅の危機に瀕した馬と言われるようになります。このような状況を受け、対馬では昭和47年に対州馬振興会が発足し、対州馬との新たな共生の道を模索する取り組みが始まり、平成23年からは、対州馬保存会に名称を変え、対馬市と共同で、対州馬の保存・活用に取り組んでいます。
令和3年には、島内の農家で飼われていた唯一の対州馬が、対馬市に引き取られ、対州馬と私たちの関わりが大きな変化を迎えています。


昭和45年までは年次、昭和50年以降は年度

■対州馬がもつ新たな役割とは
現在、島内では、目保呂ダム馬事公園(上県町)のほか、東横イン対馬比田勝(上対馬町)、あそうベイパーク(美津島町)などで飼育され、見学や乗馬をすることができます(乗馬は一部のみ)。30頭以下に減っていた島内の対州馬も、少しづつ増え、現在は46頭になりました。また、対州馬と人との関わりを作るため、背中に人を乗せることができるよう、調教を行う機会を増やしており、対州馬に新たな役割を与えるための取り組みが進んでいます。

▽子孫を残すだけでない、新しい役割を馬たちに
対州馬が物凄いスピードで絶滅の危機に瀕したのは、急に役割を失ったことが大きな要因だと思います。現在残っている対州馬の多くは、人を乗せる訓練を行っていないので、子孫を残す役割しかない状況です。調教を行って、多くの人たちと対州馬が触れ合う機会を作ることは、私たち人間にとって大きな経験になると同時に、対州馬にとって田中絢子調教助手も新たな役割を与えられることだと考えます。

■対州馬を知る・触れる・深める
馬との関わりが歴史的にも深いヨーロッパでは、馬と関わることで心の安らぎを得る「ホースセラピー」が注目を集めており、小柄で温厚な対州馬にとって、人々と共生するための新たな役割となることが期待されています。現在、対州馬とのふれあいを通して子どもたちの情緒を育もうと、島内の小中学生を対象にした乗馬教室を定期的に開催しているほか、イベントでの乗馬体験などを行っています。
また、島外の動物園で対州馬が飼育されている縁から、その地域のことや歴史について、子どもたちがオンラインでつながり、馬についての学びを深めています。

▽もっと対州馬のことを知って触れたい
お母さんに連れられて、小さい頃から対州馬と触れ合ってきました。人懐っこい性格でとても可愛い動物なので、もっと触れ合いたいと思い、対州馬少年倶楽部で活動するほか、定期的に馬事公園に遊びに来て、馬房の掃除や馬の手入れなどのお手伝いをしています。
今回の仙台との交流は、対州馬が対馬だけでなく、いろいろなところで活躍していることを知る機会となりました。これからも対州馬ともっと仲良くなって、将来は対州馬の調教師になりたいと思っています。

▽色々な方向から対州馬の魅力を知ってもらいたい
中屋:在来馬は、人や地域に根付いて暮らしてきたので、人との関わりが濃い生き物です。人と人との間に対州馬がいて、人間同士のコミュニケーションを手助けできるような役割を、対州馬が担えると良いなと思っています。
吉原:対州馬を次の世代に残していくためには、飼育するというハード面の整備と、馬を現代の生活に身近に感じてもらう場を作っていくことが必要だと考えています。これからも様々なアプローチで対州馬の魅力を伝えていきたいと思います。

■対州馬について詳しくは!
・対州馬保存会ホームページ
・YouTubeチャンネル
・Instagram

■対州馬のこれまでとこれからをもっと詳しく紹介しています
対馬博物館企画展「対州馬展」
◇9月18日まで開催中!
※詳細は、対馬博物館ホームページで

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