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長崎県立大学 シーボルト校研究紹介Vol.30

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長崎県長与町

長与町に立地する長崎県立大学シーボルト校。
すぐ近くの大学でどのような研究が行われているかをシリーズで紹介していきます。

■食品の機能性の探究
看護栄養学部栄養健康学科
古場 一哲 教授

食事によるメタボリックシンドロームの改善は重要な課題であり、食品の機能性研究はその一方策となる知見を与えます。食品に含まれる特定の成分の生理作用を作用機序まで含めて明らかにすることは、食品の機能性を知る上で重要で不可欠なことです。そして種々の成分の機能性に関する知見が集積されてきますと、それらの成分を含む食品そのもの(日常生活で利・活用する全体としての食品)の機能性の評価も可能になり、このことは食品の機能性の社会的な価値を高めることに繋がっていきます。
当研究室では現在、黒大豆を研究テーマの一つにしています。黒大豆は大豆の品種の一つで、種皮に有色色素であるアントシアニンなどのポリフェノール類を含んでいるのが特徴です。これまでに抗酸化性の他、種皮ポリフェノール類の様々な生理作用が明らかにされています。黒大豆の本体部分には、大豆タンパク質、イソフラボン、フィチン酸、オリゴ糖など多くの機能性成分が含まれます。当研究室では、これまでに大豆に含まれるタンパク質が脂質代謝調節機能や血圧調節機能を含む広範な生体調節機能を有することを、実験動物を用いた摂食試験で明らかにしてきました。黒大豆のように複数の機能性成分を含む食品では、それらの成分が相加的•相乗的に作用することが可能性として考えられますが、そのことを科学的に評価する研究はまだ限られています。一般に、食品を発酵するとその食品の機能性が修飾される場合があります。黒大豆に含まれるイソフラボンやポリフェノール類は配糖体であるため体内に吸収されやすくはないのですが、微生物発酵によりこれらの成分がアグリコン化され糖が外れた型になれば吸収率が向上して機能性が高まる可能性があります。これらのことを踏まえ、当研究室では黒大豆の食品全体としての機能性評価に加え、その機能性が微生物発酵により修飾されるのかについて研究を行っています。

図:微生物発酵による食品の機能性修飾のイメージ(アグリバイオ,7,372-374,2023より一部改変)
(※図は本紙15面に掲載されています。)

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