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自治体の皆さまへ

[特集]平和への思いを次世代がつなぐ(1)

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長崎県長崎市

今年は長崎が被爆してから78年。
当時の実相を知る被爆者のかたも高齢になり、お話を聞ける機会も年々少なくなっています。
しかし、これからも被爆地長崎は平和の尊さや原爆の恐ろしさ、戦争の悲惨さを次世代に伝え続けていかなければなりません。
被爆者のかたがいなくなった時に備えて何ができるのか。今、どのような活動が行われているのか。
今回の特集では被爆者のかたをはじめ、長崎から日本全国や世界に向けて発信していたり、これからチャレンジしようとしている皆さんをご紹介します。
色んな方法で次世代へつなぐ活動をしているかたが長崎にいます。
被爆者として多くの人に被爆の実相や平和の尊さを伝えるために自身の被爆体験を講話するかた。被爆者のかたと交流し、被爆体験を引き継ぐかた。被爆体験記を朗読し、その体験を語り継ぐかた。8月9日、そして日々の生活で平和や被爆地長崎へ思いを馳(は)せるきっかけ作りに取り組むかたです。

【自分ができることから始める】

その気持ちが大切です。
次世代の子どもたちが平和に暮らしていけるようにする。そのために、まずは一人ひとりができることから取り組んでみませんか?

■被爆の実相を語り継ぐ
家族・交流証言者 
松野 世菜さん

長崎平和推進協会が行っている「語り継ぐ被爆体験(家族・交流証言)推進事業」で、山脇佳朗(やまわきよしろう)さんの被爆体験を語り継いでいる松野さん。
松野さんが平和活動を何か行いたいと思ったきっかけは、中学3年生の平和学習で行った街頭アンケートでした。
長崎駅前を担当した松野さんのグループは、通行人に8月9日が何の日か尋ねたそう。結果、県外から長崎を訪れていた人のうち7割の人が「何の日か分からない」と回答し、その結果にとても驚いたそうです。
その後、松野さんは何か平和に関わる活動をしたいと思いながら学生生活を過ごし、高校生3年生の時に「家族・交流証言」の交流証言者の募集を知り、さっそく応募。被爆者との交流を経て、英語で被爆体験を伝えていた山脇さんの体験談を引き継ぐことになりました。

山脇さんの被爆体験を自分の言葉で語るために原稿を書いていたとき、行き詰まっていると山脇さんから「私の体験談を全て再現する必要は無い。松野さんの気持ちを伝えて」と言われたそうです。
それから松野さんは証言者として県内外で何件もの講話を行い、その中で山脇さんから伝え方のコツなどさらに多くのことを教えてもらいました。
そんな山脇さんが昨年9月に亡くなり、「聞きたいと思っても、もうお話しすることができません」と寂しそうに松野さんは言います。しかし、山脇さんのご家族から「体験談を引き継いでくれてありがとう」という言葉をもらい、また、自分が講話をするのを真剣に聞いてくれる人や涙を流している人を見て、講話を続けていこうと心に決めていると言います。
松野さんはこれからも、原爆の実相を正しく、そして山脇さんの平和への思いをしっかりと伝えていきたいと話していました。

長崎平和推進協会では、被爆体験を受け継ぎたいかた、自分の体験を託したいかたを募集しています。
詳しくは同協会(【電話】844・9922)へ問い合わせを。

■平和を思うきっかけを届ける
8.9Project
山田 果林さん

代表の山田さんを含め、7人のメンバーで活動する8.9Project。一人でも多くの人が平和への思いを馳せる「きっかけ」を届ける活動を行っています。
このプロジェクトは、被爆の実相や核兵器廃絶などのことを良く知らない人やあまり興味を持っていない人へ、分かりやすく伝えるチャレンジを市が応援する「平和の新しい伝え方応援事業」にも選定されています。
その活動の1つは、8月9日11時2分の5分前をLINEでお知らせする8.9MokutouReminder(リマインダー)。きっかけは8月9日に県内の防災無線で放送されるサイレンでした。メンバーの1人が「長崎だけでなく、日本や世界中の人たちに長崎の原爆の日を知らせる方法はないか」と考えたことから活動をはじめたそう。
配信は、8月9日の一度のみです。登録者が平和への思いを馳せる「きっかけ」としてあえて、シンプルに作りました。
また、新たに「黙祷(とう)忘れないPASS」という取り組みもスタート。飛行機のチケットをイメージしたPASSは、LINEの登録用二次元コードと、鶴を折るための用紙がセットになっています。「鶴を折るだけではなく、長崎から平和への思いをつなぐ(PASSする)ものとして捉えたい」という思いが込められています。
今後は、PASSを市内の各所に設置したり、デジタルで折り鶴を折ることができるアプリの開発なども検討しているとか。
8.9Projectはこれからも多くの人が平和へ思いを馳せる「きっかけ」を届けていきます。

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