■松枯れが起こるワケ
私たちの身近にある美しい松林が松くい虫による松枯れの危機にさらされています。
そもそも「松くい虫」という虫は存在しません。マツノマダラカミキリという体長2〜3センチの虫とマツノザイセンチュウという体長1ミリに満たない線虫によって引き起こされるのです。
では松枯れはどのようにして起こるのでしょうか。まず、マツノマダラカミキリが松林を飛び回り、マツノザイセンチュウという病原菌をアカマツに感染させます。やがて、アカマツは水分を十分に吸い上げることができなくなり、枯れてしまいます。枯れたアカマツはカミキリの産卵場所になり、越冬した幼虫が春から初夏にかけて成虫になり、また松林を飛び回っていくのです。
伊那市では平成18年に初めて松くい虫の被害が確認され、その後、被害が拡大しています。松くい虫による被害で枯れた木が増えると、台風や大雪時に倒木が発生し、道路や人家に被害を及ぼします。また松林が枯れることでマツタケなどの特用林産物が取れなくなる恐れがあります。
この被害拡大を食い止め、美しい松林を守るために、市内各地区、林業事業体、里山団体などと協働で、枯れた松の伐倒処理を行っています。
▽松くい虫の被害発生メカニズム
春:5月~7月に羽化したカミキリが線虫を体内に入れて樹体内から脱出
夏:
・カミキリ成虫が若枝の皮を食べる(後食)時に、線虫がマツの樹体内に侵入
・樹体内で線虫が増殖し、マツが衰弱
秋:夏~秋にかけて衰弱したマツにカミキリが産卵
冬:ふ化した幼虫は樹皮下で成長し、成熟した幼虫が材内の蛹室で越冬
林野庁ホームページより抜粋
問合せ:50年の森林推進室
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