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自治体の皆さまへ

信州・長和町地域おこし協力隊

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長野県長和町

■古道を知り今そして未来へ
佐々木(ささき)駿(しゅん)隊員

みなさん、こんにちは。協力隊の佐々木です。車窓より黄金色の景色を見納めつつ、来る秋は簡単な挨拶程度でひょいと通り過ぎてしまったようで。背後から冬の獣の澄んだ眼にじっと見つめれているような、そんな気配さえ漂う急な冷え込みに思わずゾクッ。冬に急かされてなんだか心も慌ただしく感じます。皆さん体調管理など引き続き気をつけてお過ごしくださいね。
さて。私は普段和紙の里におりまして、団体体験の繁忙期が10月で一区切り。県内外、とりわけ首都圏の小中学生がたくさん来られました。レクチャーの際、まず聞きます。「和紙に触れる機会はありますか?」「…」。「和紙は何からできているか知ってるかな?」「…」。ほんの数人が答えてくれます。「糸!紙!木!」。ごくたまに「コーゾ!ミツマタ!ガンピ」と呟く子も。思わず拍手。窓の外に育つ楮の木を紹介し、実際に乾燥させた楮の皮を触ってもらいます。限られた時間の中で最大限を伝えます。
いざ体験。事前に用意した下絵を持ってくるも色鉛筆も絵具も使えない。木枠で和紙を作り、そこに着色した和紙原料を針ですくってのせて描いていく。驚く表情から察するに想像とだいぶ違うはず。思い通りにはいかない難しい工程です。戸惑いながらも夢中に完成させていく。知らないもの・触れたことのないものから、「一つのカタチ(体験でいえば和紙のうちわ作りなど)」を生み出すというのは尊いです。だからこそ“体験”には価値がある。価値のあるものとして堂々と提供をするべきです。子どもたちの新鮮な表情や好奇心より見習うことも多く、たくさんの刺激を受けた夏でした。
そんな私は和紙・紙漉きを学びながら、和紙商品の制作・絵画など創作活動にも励んでいます。今夏に勁草書房より出版された『映画で学ぶジャーナリズム:社会を支える報道のしくみ』の書籍の表紙を担当しました。和紙の絵です。以前新聞記者として働いた自分が今こういう形で関われたことを嬉しく思います。本では12本の映画作品を扱い、ジャーナリズムの役割などについて理解や議論を深めてくれる、そんな一冊。簡単に紹介まで。和紙工房は紙漉きモードに入っています。原料の仕込みなど根気のいる作業が続きます。現場スタッフ、力を合わせて頑張ります。

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