[特集1] 須坂市のブドウ・リンゴ(1)

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扇状地で水はけが良く、昼夜の寒暖差が大きく、降水量が少ない須坂市は、地形も気候も果樹栽培に最適な条件がそろっています。また、市内に農業関連の試験研究機関・教育機関があり、技術力の高い果樹栽培が行われ、全国有数の果物産地としての地位を築いています。
果物がおいしい季節です。今月号では、須坂市の果物生産の状況、果物生産・消費に関わる関係者らの思いにフォーカスします。

■高い果物生産力
須坂市農産物販売農家数の80%以上を果樹が占めています(円グラフ参照)。リンゴやブドウをはじめ、モモ、ネクタリン、ナシ、プラム、プルーンなど多くの果樹が栽培されています。特に、ブドウやリンゴ、プルーンは県内でトップクラスの生産量を誇ります。

▽農産物販売農家数割合(品目別)

■大人気!須坂フルーツ
須坂市は、ふるさと納税寄附受け入れ件数が4年連続で県内1位です(2018年度～22年度)。返礼品の選択肢にさまざまな果物が潤沢にあることから、寄附者の9割が返礼品に果物を選んでいます

■須坂市ブドウ・リンゴ栽培史
ブドウは1886(明治19)年に豊洲村高畑でブドウ酒用の栽培から始まりました。後に生食用も加わり、製糸業最盛期の1920年代には工女らが出かけてブドウを買い求め、これが評判を呼び、須坂駅から農園行きのバスが出るほど賑わいました。
リンゴ栽培も同時期の1889年に始まりますが、利益が薄く、製糸業の隆盛とともに養蚕用の桑園に転換されました。その後、製糸業の不振で栽培が再開し、第二次世界大戦後の食料難期には一躍脚光を浴び、栽培農家が激増しました。
1960年頃から、バナナの輸入拡大、ミカンの増産などを受けリンゴ価格が低迷すると、高価格で台風にも強いブドウ(巨峰)栽培が急速に広まり、79年には県下一の巨峰生産地になります。この間、リンゴは食味が良く高価格の新品種(つがる・ふじ)への切り替え、栽培の省力化が進みました。

■須坂市で作られているブドウ・リンゴ紹介
須坂市では、大きな粒が特徴の「巨峰」をはじめ、黒系、緑系、赤系に分けられるさまざまな品種のブドウが作られており、甘さとうまみをぎゅっと蓄えたブドウが9月～10月にかけてそれぞれ旬を迎えます。種がなく、皮ごと食べられる「ナガノパープル」、「シャインマスカット」、「クイーンルージュ(R)」は、合わせて「ぶどう三姉妹(R)」と呼ばれ、贈答用などにも選ばれています。

▽“旬”カレンダー
※詳しくは本紙をご覧ください。
・巨峰(9月～10月)
大粒ブドウの元祖です。ブドウの中でも根強い人気があり、香りが高く味が濃厚なのが特徴です。

・ナガノパープル(9月)
須坂市生まれの黒系ブドウです。種がなく薄い皮ごと食べられます。

・シャインマスカット(9月～10月)
シャリっとした食感と酸味の少ないあっさりした甘さが特徴です。

・クイーンルージュ(9月～10月)
須坂市生まれの赤系ブドウです。シャインマスカットを親に持ち、親譲りの爽やかな香りと強い甘みが特徴です。

他にも、生食用として、高い糖度と爽やかな食味の「ピオーネ」(黒系)、果汁豊富な「ロザリオビアンコ」(緑系)、濃厚な甘みと香りが楽しめる「クイーンニーナ」(赤系)などが作られています。

須坂市は、日本のリンゴ主要産地の中では、比較的早い時期にリンゴが成熟する地域です。蜜たっぷりの「ふじ」をはじめ、バラエティに富んだ品種が作られており、8月～12月にかけてそれぞれ旬を迎えます。同時期に収穫できる長野県産オリジナル品種の「秋映」、「シナノスイート」、「シナノゴールド」は、合わせて「りんご三兄弟(R)」と呼ばれ、見た目の違い、味の違いを楽しめます。

▽“旬”カレンダー
※詳しくは本紙をご覧ください。
・秋映(10月)
バランスの良い甘酸っぱさと強い香り、パリッとした食感が大人気の品種です。

・シナノスイート(10月)
酸味が少なく甘さが際立ち、果汁が多いのが特徴で食べやすい品種です。

・シナノゴールド(10月～11月)
甘く、適度な酸味もあり濃厚な味わいです。サクサクとした食感も人気です。

・ふじ(11月～12月)
しっかりとした甘みで果汁が多く、蜜も入りやすい品種です。歯ごたえが良いリンゴです。

他にも、果汁豊富で食べやすい夏リンゴ「シナノリップ」(8月上旬～下旬)、甘さが人気の「つがる」(8月下旬～9月中旬)、酸味と甘みのバランスが良い「あいかの香り」(10月下旬～11月上旬)などが作られています。

◇須坂市には他にもおいしいフルーツがたくさんあります!!