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[特集1] 須坂市のブドウ・リンゴ(2)

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長野県須坂市

■果物王国で情熱を注ぐ
◇おいしい果物を届けます
・農業 後藤文夫さん(野辺町)

義父の後継ぎとして、20代後半から農業に携わり、現在ブドウを中心に、リンゴ、モモ、プルーンなどを栽培しています。もともと果樹栽培が好きで、特に北信五岳を眺めながらの作業は至福の時です。また、できた作物で喜んでもらえることは大きなやりがいです。
須坂市は気候も土地も果樹栽培に最適な場所で、本当においしい果物が取れるところだと思います。しかし、農業従事者の高齢化で私の地域でも後継者不足に不安を感じ、十数年前からは新規就農者の里親を始めました。
里親と言っても教えるばかりでなく、若い世代が学校などで習った新しい技術を持ってきてくれ、逆に教わることが多いくらいです。これまでに十数人が独り立ちし、中にはブドウのコンクールで賞を受賞したメンバーもいて、嬉しさと、自分ももっと努力しなければと良い刺激を受けています。
また、須坂市には県果樹試験場があり、JAながのや県農業農村支援センターの技術指導もしっかりしていて、栽培技術のレベルが高く、おいしい果物を作る農家の方がたくさんいます。これからも、仲間とともに切磋琢磨し、より良いものをお届けできるよう努力していきたいと思います。須坂市のおいしい果物を、たくさんの方に味わっていただきたいです。

◇新品種で果樹振興
・長野県果樹試験場(南小河原町)
場長 笹脇彰徳さん

果樹試験場では品種の育成や栽培技術の開発を担っています。リンゴは1970年から品種育成を始めて10品種、ブドウは89年から始めて2品種を育成しました。1つの品種を育成するのに十数年から二十数年かかります。
試験場の品種育成は生産者や消費者との対話から得られたアイデアを参考に行います。ただ、誕生した新しい品種は赤子のような存在であり、生産者が現場で試行錯誤しながら品質の優れた果物へと育てることで、その土地に根付いていきます。
品種育成の実例を紹介すると、リンゴは、長い間、早生種のつがると晩生種のふじの間(9月〜11月)に収穫できる優良品種がなく、この期間にも出荷したいという生産者のニーズに応え、シナノスイートとシナノゴールドを開発しました。ブドウは、従来は巨峰が中心でしたが、皮ごと食べられる種なしブドウのニーズを見込みナガノパープルを開発しました。国内初の黒色品種の皮ごと食べられる種なしブドウです。2019年には皮ごと食べられる種なしブドウの中でも、他と差別化できる赤色品種としてクイーンルージュ(R)を開発し、好評をいただいています。
また、少子高齢化による担い手不足に向けて、省力栽培の方法を開発し普及するとともに病害虫に強い品種の改良、地球温暖化に適応する技術の研究なども続けています。
試験場は多くの皆さんの支援を受けてきました。今後も皆さんと連携を深め知恵を出し合い、さらなる果樹振興に向けて努力していきます。

◇産地づくりに取り組む
JAながの須高ブロック

生産者の皆さん、果樹試験場、行政などと連携して、土壌や標高などに応じた適地適作の提案、市場ニーズを捉えた果樹の推奨、より品質の高い果物を生産するための技術指導や講習会などを行い、果樹栽培に恵まれた地域の特性を生かした産地づくりを目指しています。須坂市生まれのナガノパープルが育成され始めた当初においても、地域の皆さんが一体となって試行錯誤しながら立派な品種に育て上げ、産地づくりに尽力しました。また、生産者の営農生活を支えるために市場動向を見ながらの販売を心掛けています。
JAながの須高ブロックは「フルーツハリウッド須高」の商標で、全国においしくて高品質の果物を届けています。毎年、行政とともに東京都などでのトップセールスも行っており、年々ブランド価値を高めています。
JAながの須高営農センター長の青木紀明さんは「県外の方からは〝須坂市の果物は他では食べられない味〟との声をいただいています。全国に誇る果物産地を未来につなげていくためにはブランドの維持と担い手の育成が必要。JAとしてしっかり支援していきたい」と話しています。

◇未来に向けて学ぶ
須坂創成高等学校園芸農学科

須坂創成高等学校園芸農学科の果樹コースでは、より良い果樹栽培を目指し、リンゴ、ブドウを中心に学んでいます。
ブドウの栽培を研究する3年生のグループは「ハウスブドウにおける灌水(かんすい)量の違いが果実品質に及ぼす影響」を研究し、同校内のハウスでナガノパープルを栽培しています。標準的な水分量、少ない水分量、多い水分量に分けて栽培し、成熟したブドウの糖度や酸度を調べ、比較します。
生徒らは「灌水量と果実品質の関係を調べて、品質の良いナガノパープルの栽培方法を探ることが目的」と話し、嶋田大輝さんは「私はブドウが大好きなので、ここでしっかりと学んで将来はブドウ栽培をやりたい」と夢を膨らませていました。
また、リンゴの栽培を研究する別のグループでは、反射シートの有無や収穫時期の違いによる果実の色づき度合い、品質の違いなどを調べ、品質向上のための栽培方法を探るほか、加工品を試作し研究しています。

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