常盤小学校長 大日方良彰
最近、「発達障がい」という言葉をマスコミで見聞きすることが多くなりました。ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD(学習障がい)の3つがあり、それぞれ「落ち着きがなく、不注意」、「こだわりが強く、対人関係が苦手」、「読み・書き・計算など一部が苦手」などの姿で表れます。一昔前の学校では「みんなと同じにできない困った子」ととらえられ、時には差別の対象となってきました。昨年度の文科省の調査では通常学級に在籍する児童生徒の8.8%に疑いありとされていますが、現場感覚では2割を超えているのではないかと思っています。ただ大事なことは、現代の医学的な知見により、発達障がいは脳の機能の問題であって、決して親のしつけやわがままが原因ではないということです。そして、医療や学校現場ではその理解や具体的な支援方法が劇的に進歩しています。
今回は「お、ねだん以上」で知られ、売上高7千億円の「ニトリ」を一代で築き上げた似鳥昭雄さんのお話を紹介します。彼は小学校4年生になっても名前を漢字で書けず、成績はいつもビリ。忘れ物ばかりでいじめられていました。そんな似鳥さんがADHDの診断を受け「発達障がいでよかった。」と語っています。「障がいのおかげで、人が考えつかないことを考えられる。」「短所はもう仕方ない。長所が見つかると短所が隠れちゃうんだよね。」という言葉には深い感銘を覚えます。
私たちは「人と同じこと」や「整然とした集団」を重視する傾向があると思います。しかし、「困った子は困っている子。」「みんな特性は違う。バラバラが当たり前。」と多くの人が受容的に見方を変えていけば、私たちの社会はもっと住みやすい社会になると思うのですが、いかがでしょうか。
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