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自治体の皆さまへ

農業委員会だより No.260

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長野県飯山市

がんばっています! ―No.52―

■「定年を機にUターン就農」
清水幸雄さん(常盤地区・大池)

▽故郷を離れ就職
昭和48年、希望を胸に飯山から電車を乗り継ぎ横浜へ。そのときに見たホームからの景色と、母親が手を振って見送ってくれていた姿を、今でも思い出します。あれから四十数年、ふたたび飯山の地に戻り就農することにしました。母は将来息子と一緒に農作業することを楽しみにしていたようですが、Uターンする1年前に亡くなってしまいました。

▽Uターンして就農
両親が残してくれた農機具もあり、農作業の手伝いをしていたことから抵抗なく入り込めました。農業道場や農業経営塾などで研修を受け、近隣の先輩農家さんや農協の指導員さんに技術指導を受けながら作業しています。
現在は、主にアスパラを栽培していますが、茎枯れ病などの予防策として雨除けハウス栽培も2アールほど実施しています。
また、飯山の伝統野菜「常盤牛蒡(ごぼう)」を自分でも栽培してみたいと思い、千曲川堤防外で畑を借りて、栽培したものの台風で水没。本来の「常盤牛蒡(ごぼう)」の収穫はできませんでした。

▽農業経営に関するイベントに参加
これからの農業経営の新たな情報を得るため、新規就農者の情報交換会などに参加しています。「太田地区の未来を語る会」では、将来を見据え、農業に精力的に取り組む2人の若手農業者の想いを聞き、地域の将来についても考えていることに感動しました。
新規就農者情報交換会では、3人の先輩農業者による「実践事例」を聞きましたが、SNSを駆使して自ら販売網を開拓するなど、これからの農業経営スタイルの変化を強く感じました。自分自身への刺激と、これからの農業の参考にさせていただいております。

▽就農して感じること
就農して丸3年、アスパラ、南瓜、白ネギ、ゴボウ、長芋、ズッキーニ、ピーマンと多品目を栽培していますが、収穫や出荷準備で早朝から深夜まで及ぶことがあります。出荷作業が重複すると、一人農家で高齢者となった今、体力的に無理がきかなくなってきました。
消費者に安全で美味しい野菜を食べてもらいたいと思い頑張っていますが、行政による農業の見直しの必要性を感じています。Uターン就農するにあたり、目標とした「年金に頼らず農業収入での生活」は実現できず、農業経営の厳しさを実感しています。

▽これから先思うこと
飯山市でも地域農業の再生について動き始めていますが、早々に結論が出る話ではありません。私は今68歳。元気で農業に携り、故郷の飯山から耕作放棄地を少しでも減らし、荒廃農地を緑肥化し、花を咲かせ、景観も良く、いつでも耕作できるよう、新たな挑戦者が更に現れるまで、中継ぎとして、伝統野菜の存続と地域農業再生に微力ながら貢献していきたいと思っております。

■あぜ道だより
常盤地区農業委員 佐藤弘子

▽生まれてきました
赤ちゃんが生まれ出して2頭目がなかなか出てこない。腕を消毒して母豚の呼吸に合わせながら産道に沿ってそっと手を入れていく。「あ、いた!」子豚の鼻に触る。あともう少しで顎(あご)の間に指が入る。そして思いきり手を引く。子豚の犬歯が指に刺さり痛い。こんなときは、お産の補助具を使い、産道の中で子豚の向きを変えて頭にかけて慎重に引っ張る。「あ、生きてる」喜びと安堵で胸がいっぱいになる。母豚は半日中自力で産もうとがんばって体力を消耗してしまうので、あとから生まれた13頭は時間をかけて全部引っ張って産ませた。豚の子宮は中で2部屋に分かれていて、多い時には18頭も生まれる。生と死とのお付き合いに笑ったり涙したり。
分娩舎は、授乳を誘う母豚の声や、離乳日に泣きながら分娩室をさ迷う子豚などいつもにぎやかです。この場所が、私は一番好きです。

▽みゆきポーク誕生
今から60年くらい前、豚コレラのワクチン製造のため「血清豚」を育成している家が多くありました。その後、年中通してできる仕事として、きのこ生産や畜産に移行していきました。養豚経営は、夫婦2人の営農から企業による大規模経営に変わり、豚肉は、海外から安価な輸入品が量販店にたくさん並ぶようになりました。
そんな中、安心、安全の、ここにしかない生産者の顔が見える産地銘柄豚の開発が始まりました。8年の歳月と約8億円の費用をかけて品種改良された親豚から生まれた子豚です。特別な飼養管理マニュアルに基づいて愛情たっぷりに育てられた「みゆきポーク」が誕生しました。
柔らかな肉質と良質な甘みのある脂身が特徴です。新鮮で安心、安全、高品質で美味しいと地元の皆さまに認めてもらい、県内外からの注文に郵送したり、「飯山にきたらお土産に買っています」との声に勇気をもらい、なんとかここまできました。

▽畜産への思い
これまでの幾度となる台風による水害で、たくさんの豚を犠牲にしました。そのたびに行政やたくさんの畜産仲間そして地元の皆さまに助けていただきました。いつも感謝しています。
地元の熱意から生まれた「みゆきポーク」。コロナや戦争などにより、予想外の試練に立ち往生しています。畜産家にとってコストの大半を占める飼料高騰は、今までに経験のない危機的状況です。行政の支援などを得ながら、皆さまに知恵をお借りして、豚さんとの触れ合いを継続したいです。

■あしあと
3・4月の活動記録
▽3月
・1日 県農業委員会女性協議会北信支部研修会(なちゅら)
・7日 基盤整備に係る学習会
・10日 農地相談・農業委員会役員会
・24日 3月農業委員会総会・情報委員会

▽4月
・7日 農業委員会役員会
・26日 4月農業委員会総会・市長、副市長との懇談会

問い合わせ:飯山市農業委員会
【電話】0269-67-0729(直通)【FAX】0269-62-6221(2階代表)

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