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特集・新春対談(3)

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長野県高森町

■高森町に秘められた可能性 今あるもので新しい価値を
壬生:岸川さんが感じる高森町の魅力はどんなところですか?
岸川:この町のポテンシャルの高いところは段丘状になったこの地形ですね。僕らの暮らす地域にはないのでとても魅力を感じます。
壬生:なるほど。
岸川:それからおいしいフルーツ。これも魅力的です。リニアが開通すれば首都圏から短時間で来ることができますし、軽井沢のようなエリアになる可能性も十分持っているわけです。とは言っても何か新しいものを作る必要はなく、今ある素晴らしいものを組み合わせながら新しい価値をつくり、イノベーションを起こすことができるはずです。
壬生:たとえば高森町ならどんな可能性があると思いますか?
岸川:私は高森町の小・中学生にもソーシャルビジネスに取り組んで欲しいと考えています。そうですね…。例えばここは果樹栽培が盛んですからフルーツをたっぷり使ったスイーツ店もいいですね。みんなでお店ごっこではなく、本気で全国のパティシエなどから技術を習い、レストランのように正装をして接客する。ぎこちなくてもいいんです。子どもたちが一生懸命やっていたらその姿に大人は感動しますよ。
壬生:以前、岸川さんとお話をさせていただいてから「人が果たす社会の役割」とはなんなのかとずっと考えています。たとえばスーパーで物を売るのは社会にものすごく貢献していることですが、そのように感じながら仕事をしている人はどのくらいいるでしょうかと。
もちろん仕事をすることの目的はお金を稼ぐことですが、それだけではなく、最終的にすべての仕事は社会貢献につながり、必ず誰かの役に立っています。未来の大人たちには、将来それを実感できる人材に育ってほしいんですよね。
岸川:それは本当に大切ですね。
壬生:そうした部分に光を当てているのが岸川さんたちの活動ですよね。
岸川:ありがとうございます。
壬生:これから難しい時代を生きていく高森町の子どもたちのために、時間はかかるかもしれませんが、私たちも何かしらの方法で社会の仕組みや、誰かのために生きることを教えてあげたいし、感じて欲しい。小・中学生はもちろん、高校生も巻き込んで、町として未来の大人たちの自主性を持った取り組みを応援(お手伝い)できたらいいなと考えています。
岸川:先ほどお話しした沖縄の西原町で印象的だったのは、現在10期生まで続くN2SBPの活動を見て、小学生の子が「自分たちの時代は期生だ」と活動に参加する前提で話していたこと。高校生のお兄ちゃん、お姉ちゃんの姿に憧れて、自分が参加できる日を心待ちにしているんです。高森町もそんな風に魅力的な活動ができる可能性は十分秘めているはずです。
壬生:大人はどういう形で関わっていけるでしょうか。
岸川:たとえば高森町には「熱中小学校」があり、さまざまな学びに取り組んでいる素晴らしい大人がいます。これまで自分たちのために先進的な学びを続けてきた皆さんが、今度は「未来の大人たちを応援する」というテーマに向けて学びの内容を変えていくのもいいですね。未来の大人たちを核にそういう世界を創造してみるのもひとつの方法です。もちろん、地域の幅広い皆さんにも、それぞれの持つ専門性や経験をご提供いただけるといいですね。
壬生:そうですね。大人を変えるのは未来の大人たちの声ですから、子どもの輝きが人と人を結び、大人も輝ける町になってほしい。そして最終的には「高森に住んでいてよかった」と誰もが思える町にしていきたいです。

※1 松岡昌宏主演の連続ドラマ「高校生レストラン」(日テレ系・平成23年5〜7月放映)。岸川さんをモデルにした「岸野宏」役を伊藤英明が演じた。
※2 主に町内会や自治体単位で20代〜30代の青年男女により組織される団体。終戦とともに全国へ広がったが近年では活動が継続できない地域がほとんど。

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