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ほっとジオなひとときを

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青森県むつ市

■季節のジオだより Vol.7 尻屋埼灯台
尻屋埼灯台は、明治4年に斗南藩からその必要性を訴える申述書が出され、同6年に着工となりました。現在も灯台に掲げられているプレートには明治9年10月20日に初めて点灯したとありますので、以後150年近い歴史を刻んでいることになります。その尻屋埼灯台には、140年前の10月に少し変わった記録が残されています。
明治16(1883)年10月24日夜、尻屋、岩屋両村で火の玉の飛来が認められ、人魂が灯台に飛入ったと騒がれたといいます(笹沢魯羊(ささざわろよう)『宇曽利百話(うそりひゃくわ)』)。あろうことか、飛来した火の玉が尻屋埼灯台にぶつかったというのです。
当直の職員から非常招集がかかり、状況を確認の上、翌日には尻屋埼灯台主員から灯台局にあてて、次のような主旨の報告がなされました。
「24日午後8時30分頃、北の方位から4インチ程の火球のようなものが飛来し灯籠の北側堅厚ガラス板に衝突し、ガラス板2枚を破損。1枚は菊花のような破筋が生じ、もう1枚は丸い穴があいて破片が灯室内に散乱した。」
報告を受けた灯台局は、11月9日付で気象台に質問書を出したようです。同15日付の気象台からの回答書が明治16年11月21日付の『官報』にあります。割れたガラスの図も添えて以下の回答が示されています。
「質問にあったような火球については実物を見ないと原因を突き止めるのは難しい。ガラスの割れ方などから推定すると、隕石が天空から斜めに降ってきてガラスに衝突したようだ。その石塊は残っていないようだが、灯室の内外に散逸したものをまだ見出せていない可能性もある。高温高速の隕石の落下で火災が発生した例もあるが、今回は不燃物に衝突したことから火災を免れた。隕石の有無やガラスの溶解痕など精査の上再報願いたい。」
本州北端の岬の先端に立つ細い灯台の最上部の灯籠のガラスを直撃したとはすごい確率ですね。続報が気になるところですが、その後の詳細は不明です。
尻屋崎一帯は付加体堆積物の石灰岩などからなりますが、そこに貫入した閃緑岩(せんりょくがん)の上に灯台は建てられました。強固な地盤の上で、さまざまな出来事を経ながらも航海の安全を見守り続けています。岩盤の上に立つ灯台を見ながら150年の時の流れに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

■今月のジオ図鑑
尻屋埼灯台
構造:白色塔型レンガ造
等級・灯質:第2等 単閃白光(毎10秒に1閃光)
高さ:32.8m

~point!~
・東北地方初の洋式灯台
・現役のレンガ造り灯台では日本一の高さ
・霧信号が設置された最初の灯台
・2022年12月12日国の重要文化財に指定

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