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【特集】熱い夏、来たる~むつ市の祭(1)

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青森県むつ市

8月4日のむつ花火大会・大湊ネブタを皮切りに、むつ市の祭が始まります。今年は4年ぶりに通常開催の祭も多く、久しぶりに例年通りの熱い夏がやってきます。
大湊ネブタ初日に開催されるむつ市花火大会。会場の大平岸壁に展示される大湊ネブタと共に、むつ市の夏の始まりを鮮やかに彩り、5日・6日は大湊ネブタの合同運行が行なわれ、大湊の夏の夜を熱く盛り上げます。
続いて、約二百数十年前に能登の商人が始めたとされる脇野沢八幡宮例大祭。8月15日に神事を執り行い、山車や神楽が各地区を練り歩きます。
昨年、規模を縮小して行われた田名部神社例大祭も、コロナ禍前と同規模での開催となります。
また、田名部神社例大祭期間中18日には、おしまこ流し踊りが開催され、ミスおしまこと参加団体の華麗な流し踊りが祭に華を添えます。
川内八幡宮例大祭は9月16日・17日に開催予定。山車の大きさは県内随一、昼夜で祭の表情が一変します。また、祭を盛り上げる独自の掛け声も魅力の一つです。
時期を同じくして開催される大畑八幡宮例大祭。9月16日夜には神楽と能舞の一斉振りや山車の乱囃子が観客を盛り上げます。
コロナ禍で中止や延期、規模縮小を余儀なくされた各地の祭。ようやく以前と同規模の開催となる今年の祭への想いは特別なもの。
その特別な想いを田名部神社例大祭より今年の当番山である新町新盛組の似内大輔(にたないだいすけ)組頭に伺ってきました。

■当番山組頭に聞く
新町新盛組
組頭 似内 大輔さん

◇4年ぶりの通常開催
下北地域最大規模とされる田名部まつりが4年ぶりに通常開催されることから、今回、5つある組の中で「当番組」の新町新盛組組頭の似内(にたない)さんにその心中を聞きました。

「多くの人達の想いを汲んで、何とか成功させたいな、と」

冒頭、その言葉には力が込められていました。
思い返せば、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、3年前の令和2年は例祭のみで運行は中止、おととしの令和3年は各組の集会所前などでの山車展示のみ、そして昨年、令和4年は通常開催が期待されましたが、運行時間など規模縮小での祭典の開催。組員をはじめ祭典の関係者、加えて、地域住民にとって、通常開催は悲願でもありました。
「(組員も)久方ぶりの祭りで会議、打合せも入念にしており、(今年は)気持ちが違うのではないかなと思います」
「ただ、彼(昨年の組頭)が一番悔しい思いをしたんじゃないかな」と似内組頭。
「頼んだ」
昨年の組頭からは、一言伝えられたそうです。
その4文字から表れるたくさんの人々の願い、想いを胸に秘め、当番組として、組頭として、新盛組を引っ張っていきます。

◇悔しさと喜び
似内組頭への取材中、昨年組頭であった石澤亨(いしざわとおる)さんへもお話を伺うことができました。
「正直なところ、うらやましいなと。ただ、なによりも、悔しい思いをした自分たちの分まで頑張って欲しいという想いが強いです。
令和2年からゼロ(中止)になり、通常の山車運行が全くできなくなってしまいました。一昨年は共進組さん、昨年は明盛組さんが当番となり、我慢しながら徐々にステップアップをしていって、昨年でようやく基盤、土台、希望ができたと思います。田名部神社例大祭(田名部まつり)北前船によって伝えられた京都祇園祭の流れを汲むとされる、下北地方最大規模の祭り。毎年8月18日から20日まで開催され、豪華絢爛な5台の山車(ヤマ)が市内を練り歩きます。最終日20日深夜には、5台の山車が一堂に会し、来年の再会を誓う「五車別れ」でフィナーレを迎えます。
そして、今年は通常開催に向け、その基盤を下地に準備し、伝統を積み重ねられることに喜びを感じます」
似内組頭とは同級生。通常開催の報に接した際には、意識せず気を引き締めていた様子で、「歴代の組頭を副頭、小頭としてみんなで共に支えあってきた。その後、相談役となった前代の組頭が新組頭を下支えしていきます。そして、これからもそれは続いていくものなので」
今年が通常開催となっても今までどおり、今後も組頭を支えていきたいという意思の現れが表情から見て受け取れます。

◇雨降って地固まる
「天気次第ですかね」
心配なことはないですか、との問いに似内組頭は笑顔で答えます。
「台風とか来るシーズンであって、昨年は大雨に打たれながらの開催になったので、その点が心配ではあります。」
奇しくもこの田名部まつりは、天気が雨になることが多々あることから「がんべまつり」という愛称で親しまれています。
しかし、石澤前組頭は言います。
「雨じゃなければ祭りではないと思っているところもあります。田名部まつりは五穀豊穣(ごこくほうじょう)を願う祭り、やはり豊作を祈るならば、雨は必要なのではないでしょうか」
コロナ禍という長い雨に見舞われた田名部まつり。
雨降って地固まるようにこの「雨」によって、改めてこの祭りにかける熱量が醸成され、また未来へと伝統をしっかりと積み重ねていけるのではないでしょうか。

「晴れだと、熱中症さなるな」
くったくのない笑顔で話す似内組頭と石澤前組頭。
たとえ「がんべまつり」になったとしても、この祭りを心から待っていた下北地域の住民の心を「晴れ」にするに違いない。
そして、組に参加する子ども達や後輩たちが今後も伝統を受け継いでいくことでしょう。
多くの人々の3年分のストーリーを笛や太鼓、声に乗せて、8月18日から田名部まつりが始まります。「やでこらーせえーのー・・・」

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