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大間病院だより

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青森県風間浦村

◆海での溺水について

令和5年5月、大間港の沖合で漁船から海に転落した男性が亡くなり、ニュースでも報道されました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

同様の事故は平成27年1月・令和3年4月にも大間町で発生して死亡者が出ており、漁業を生業とする方が多い北通り地域では他人事ではないでしょう。

医学的には、海に転落して溺れた際に問題となるのは、主に低酸素脳症・低体温症・潜函病(別名:潜水病)です。肺に水が入り込み窒息状態となり酸素が取り込まれなくなると、人間は5分で心肺停止状態に陥りますが、一度心肺停止となった溺水患者を救命出来る確率は10%程度しかないといわれています。また、10メートル以上潜ってから急激に浮上すると潜函病を発症することがあり、動脈内で窒素が気体化して閉塞したり、肺が破裂してしまう事で死に至ります。そのため、海深くに沈んでしまった人を引き揚げる際には早すぎてはいけないのですが、低酸素状態を一刻も早く解除したい気持ちと相反するのが難しい所です。

溺水のタイムリミットは沈んでから25分と言われています。これ以上経過していると、心肺停止状態から蘇生する可能性は非常に低く、蘇生できたとしても脳に深刻なダメージが残り寝たきりの植物状態になってしまうと思って下さい。溺水者が発生したかも、と思った時点で119番または118番(海の緊急通報ダイヤル)通報の上、発見・引き揚げたらすぐに心臓マッサージ・人工呼吸を開始するのが重要です。

さらに重要なのは、いかに溺水を予防するかです。運輸安全委員会からの船舶事故調査報告書の再発防止策には以下の記載があります。

・小型船舶の操縦者は、暴露甲板にあるときには、救命胴衣を着用すること。
・小型船舶の操縦者は、乗船中、防水パックに入れた携帯電話又は防水型の携帯電話を身に付けておくこと。

船に乗る方、海の近くで仕事をする方は自身の命・周囲の人の命のためにも覚えておいて頂けると幸いです。

院長 安齋 遥

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