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新春知事インタビュー 富国有徳の「美しい“ふじのくに”」づくり 2

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静岡県

■物流の活性化で脱炭素、貨物ターミナルを整備
(中島):経済活性化の話になりました。かつて厳しい経営環境にあった貨物輸送や海運が、世界的な脱炭素への動きや物流改革の中で経済を支える基盤として再評価されています。鉄道高架に伴う沼津駅周辺総合整備事業が進展する沼津市は東名にも新東名にもアクセスに優れ、田子の浦港を含めた県東部地域は、わが国の最先端の物流基地になる条件を満たしていると感じます。JR新貨物ターミナルを活用した今後の物流の活性化策についてお聞かせください。

(知事):物流は劇的に変化しています。脱炭素化や省エネ化も物流に影響しており、特にトラック輸送の運転手の不足が「2024年問題」として浮上しています。長距離輸送ではトラックから舟運や鉄道へのシフトが有効です。沼津の新貨物ターミナルは首都圏への要の位置にあり、トラックと鉄道のモーダルシフトの理想的拠点になり得ます。沼津ターミナルは最新式の設備を備えており、平時の物流拠点、有事の防災物流の拠点として期待できます。

■未来を担う有徳の人づくり
(中島):人の流れも生まれますね。今後、静岡時代を担っていくためには、未来を担う有徳の人づくりが大切です。多様性に富み、誰もが幸せを実感できる社会の実現に向けた取り組みについてお聞かせください。

(知事):裾野市に未来都市「ウーブン・シティ」が建設中です。いずれ世界から有能な人材が移住してきます。彼らの関心事は三つです。一つ目は日々の買い物、二つ目は病気の際の医療、三つ目は子どものいる移住者にとっては教育機関です。買い物は心配いりません。医療についてもバーチャルメディカルカレッジが奏功して医師定着率が約8割と高く、大丈夫です。課題は三つ目の国際的に通用する教育機関です。幼児教育・義務教育・高校へと進んだ後の出口にある大学の国際化です。本県は日本の真ん中に位置する優位性があり、また、ものづくり県です。夢ですが、実学を柱にしたインターナショナル・ユニバーシティが本県にあれば、世界の若者が留学してきます。昨年、CNF(セルロース・ナノ・ファイバー)の国際シンポ・展示会が富士市でありました。海外の学者のCNFのプレゼンは有益でしたが、国内企業三社のプレゼンはいずれも見事で、社会実装と密着しており、学ぶに値する教育的なものでした。国際的教育に資する企業が本県にはたくさんあります。英語をツールにすれば、世界各地の青年が本県の実学を学ぶためにやってきます。実学のインターナショナル・ユニバーシティは最高の夢です。

(中島):知事は著書で「静岡県を日本の理想郷にする」と記されています。有徳の人づくりですね。

(知事):『日本の理想ふじのくに』は知事としての初心を書きました。そこに込めた思いの一部は実現しています。静岡県と山梨県は“富士(ふじ)の国(くに)”を公式に自称するようになりました。富士山は日本のシンボルですから“富士(ふじ)の国(くに)”とは日本のことです。私は常に静岡県が日本のために何ができるかを考えて県政に打ち込んでいます。近年の中部横断自動車道の開通で交通の利便性が向上し、静岡・山梨・長野・新潟の四県で平成26年から「中央日本四県サミット」を開催し、観光周遊エリアとしての結び付きが強くなり、一体感が醸成されつつあります。昨年、佐渡金山と土肥金山を海路で結ぶフェリー会社同士が協定を結び、二つの金山を陸路で結ぶルートを「黄金KAIDO」と名付け、観光誘客プロジェクトを始めたところ、大好評でした。黄金KAIDOは、そば・日本酒・ワインなどの食の街道でもあり、景色も素晴らしい。

(中島):どの県も景色が美しい。まさに絶景街道でしょう。

(知事):日本の誇る山岳の絶景街道です。洋上から富士山を仰ぎ見る駿河湾フェリーや、高速道路で国立公園の日本アルプスや山岳群を見ながら四県を縦断し周遊する「黄金KAIDOプロジェクト」は圏域づくりへの発展の可能性を秘めています。

■安全・安心な地域づくり
(中島):ゲリラ豪雨をはじめ、近年の自然災害は想定を超える規模となっています。また、発生が危惧されている南海トラフ巨大地震など、自然災害への備えや減災に向けた対応が求められています。市町と連携したリスク管理や、県民の安全・安心を守るための取り組みや考えをお聞かせください。

(知事):令和3年7月の熱海市伊豆山の土石流災害で多くの犠牲者が出たことは言葉にならないほど無念でした。二度とあのような悲劇が起こらないように、本県は全国で最も厳しい盛土条例を制定するとともに、「盛り土110番」を設置し、県民、行政による不適切な盛土の通報、監視体制を強化しました。昨年5月から施行された盛土規制法については、運用開始に向けて、準備を行っていきます。南海トラフ地震に対しては「地震・津波対策アクションプログラム2013」の取り組みを10年間進めた結果、国が想定した10万人超の想定犠牲者数を約2万人にまで減らしました。今後「自助、共助、公助」の自助の強化を図り、市町と連携して「わたしの避難計画」の普及に努め、避難が難しい人や在宅避難者の避難計画を含めて、県民一人一人の防災意識の向上を目指します。

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